44話:未仔ちゃんとの甘々デート PART8

 水をぶっ掛けてきた子供たちの親に平謝りされた後、モール内にある男子トイレで買っていた服へと着替え直す。

 夏彦としては、ちょっとしたお色直しの気分。未仔セレクトの服を上下一式着れるのだから、逆にラッキーとさえ思えてしまう。

 しかし、幸運なことは長続きしないようで、


「せ、席がない……?」


 本棟5F、映画館にある券売機前にて夏彦がフリーズ。

 それもそのはず。未仔と観る予定だったはずのラブストーリーものの映画の席が、ほぼほぼ満員になってしまっていたから。

 次の上映時間は3時間以上も後。高校生になったばかりの未仔のことを考えれば、夜遅くまで待つことも難しい。


 女子高生に絶大な人気を博す、等身大ラブストーリーを甘く見ていた。

「予約しなくても大丈夫だろう」と侮っていた自分に非があると、夏彦は手を合わせて未仔へと謝罪する。


「ゴメン! 俺が予約しなかったばっかりに!」

「ううん、ナツ君は何も悪くないよ。むしろ私を守ってくれたんだから」


 落ち込む必要など何一なにひとつないと、未仔は夏彦を優しくなだめる。


「そんな悲しそうな顔しないで。今日は映画を観に来たんじゃなくて、デートを楽しむのが目的でしょ?」

「未仔ちゃん……」

「それに、またデートする機会ができたから私は嬉しいけどな」

「!」


 未仔が発した言葉に、夏彦は確認せずにはいられない。


「そ、それって、……また俺とデートしてくれるってこと?」

「ナツ君は、もうデートするのイヤ?」

「!? ととととととんでもない! 四六時中、未仔ちゃんとデートしたいくらいです!」


「四六時中してくれるの?」とクスクス笑う未仔は、小指を差し出しつつ言うのだ。


「次のデートも楽しみだね♪」

「……っ! うん!」


 デート中に次のデートの内定GET。未仔と小指を絡め合う夏彦は、「水をぶっ掛けられて良かった……!」とすら思えてしまう。

 しかし、浮かれるにはまだ早い。

 今は現状打破、映画の代わりに楽しめる何かを探すことが最優先事項だから。

 指切りげんまんを終え、夏彦はスマホを取り出す。


「ちょっと待ってね。近場で楽しめそうな場所をブクマしてあるから」


 こんなこともあろうかと、夏彦はあらかじめ近場のデートスポットは調査済み。

 カラオケ? ボウリング? 夕焼けの綺麗な場所? パワースポットで有名な神社?

 ブックマークリストから、どれが今の最適解かと画面と睨めっこ。

 していると、


「??? 未仔ちゃん?」

 未仔が夏彦の裾を掴む。

「えっとね……、」

「うん?」

「ナツ君さえ良ければなんだけど、…………私のお家で遊ばない?」

「………………。えっ!?」


 夏彦、初デートにして、彼女の家で遊ぶ権利獲得。






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悪い展開に転がると思いきや、さらに良い展開に。

誰もが憧れるデート、お家デートに昇格!


【朗報】

今日の話は短めだったので、日付が変わるくらいに未仔視点の話を投稿しまっす。

未仔視点からの甘さを召し上がれい。



おっぱいフレンズは、ブックマーク&評価よろしくどーぞ。

Twitterもやってますʅ(◔౪◔ ) ʃ

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