26話:彼女と下校は、男子高校生の憧れ PART1
放課後を知らせるチャイムが鳴り響けば、クラス一同が立ち上がる。
担任へと挨拶を終えて本日のお勤めが終了。
「急げ急げ!」
「先輩にどやされる前に準備すんべ」
「紅白試合前にアップしとこーぜ」
などなど。
春の大会が近いからか。部活に属する生徒たちは、部室やら準備室やらにドタバタと教室を去っていく。
夏彦は帰宅部故、慌てる必要がない。
昨日までは。
今日だけは特別。チャイムはまるでゴングに等しく、大急ぎで琥珀と草次のもとへと駆けつける。
勿論、2人と拳をぶつけ合うためでなく、両手を合わせるため。
「一生のお願い! 今日は未仔ちゃんと2人っきりで帰らせてください!」
男子高校生なら誰しもが憧れる、彼女と一緒に下校するという夢を叶えるため。
平々凡々な男だからこそ、恋人同士の鉄板イベントへの憧れは強いわけで。
純真無垢、キラッキラッな瞳で両手を合わせてくる夏彦に、2人の反応は
「見てるコッチが恥ずかしくなるんやけど……」
「だな……。初々しさが痛々しい」
「酷い!」
恋愛に興味がない琥珀、既に彼女がいる草次にとって、夏彦の一生に一回の頼み事は、「シャー芯ちょうだい」レベル。
故に、
「はよ行き」「早く行けよ」
2人は『行った行った』と手払い。
「あ、ありがとう!」
却下パターンはないと夏彦も思っていたが、やはり嬉しいものは嬉しい。
「それじゃあまた明日!」と軽い足取りで教室から廊下へと夏彦は飛び出していく。
そんな夏彦を見送っていた草次が、琥珀へと話しかける。
「お前は彼氏作んないの?」
「えっ。草次、ウチに告ってんの?」
「その返しの時点で、作る気なさそうだな」
「正解♪」
ニッコリ笑う琥珀は、本気で作る気ナシ。
しかし、琥珀が少々強がっていることに草次は気付いている。
遊び相手、悪友の夏彦に彼女ができたのだ。必然的に遊ぶ時間が少なくなってしまうのは明らかである。
あのイチャイチャ具合が続くのなら、共有する時間がゼロになるのも不思議ではない。
琥珀もまた、草次が言いたいことを理解している。
「まぁ、いつかはこんな時が来てもおかしくな――、」
「あのさっ!」
「「?」」
琥珀の会話を中断させるのは夏彦。
出て行ったはずの夏彦が、何かを伝え忘れたかのように教室へと顔を覗かせていた。
驚く2人へと夏彦は大声で言うのだ。
「俺、友人関係も
「「……」」
「あと! 2人さえ良かったら、未仔ちゃんも入れて一緒に帰る日も作ろう!」
「ごめん、それじゃ!」と、夏彦は2人の返事を待たずに今度こそ行ってしまう。
まるで、『2人の返答は聞かずとも分かっている』といったように。
いきなり戻ってきて、言いたいことだけ言って、台風のように去って行く夏彦に、琥珀と草次は顔を見合わせてしまう。
そして、笑い合ってしまう。
何も心配することなど無かったと。
笑顔の琥珀が、草次の肩へとガッツリ手を回す。
「よっしゃ! 今日は草次がナツの代わりに、ウチとの遊びに付き合ってもらおー!」
「いや、俺――、……まぁ、今日くらいは付き合ってやるか……」
大きく溜息づく草次だが、本気で面倒くさがっているわけではない。
この2人もまた、気の置けない友人同士なのだから。
------------
「友達に恋人できたら、寂しくなっちゃうよね」っていうお話でした。
ほろ苦さも、たまには味わえい。
‐報告‐
募集していた19~23話のタイトルを発表。
新しいタイトルは、、、、、、
『うわっ……俺の信用度、低すぎ……?』
で決定!!!
ゆーきPさんの、『うわっ……俺の信用低すぎ…?』を少々モジらせていただきました。
素晴らC! そして、ありがとう!!!
並びに、おっぱいフレンズの皆も協力ありがとう!
複数個のタイトルを提案してくれる方、19~23話をわざわざ読み直してくれた方、「もう『おっぱい』でいんじゃね?」的なド畜生などなど。
いやぁ~良かった!
色々目を通せて、すんげー楽しかった!
また、何かお祭りっぽいことができたらしていきたい(☝ ՞ਊ ՞)☝
今後共々、おっぱいフレンズよろしこ。
新規のおっぱいフレンズもエンドレスに募集。
------------
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます