13話:彼女との帰り道 PART1

 日もすっかり落ちた19時手前。

 恋人同士になった夏彦と未仔は、家路目指して夜道を歩いていた。


 告白されたときは離れていた距離も今ではゼロ距離。それどころか、2人は恋人らしく手と手を繋ぎ合っている。勿論、恋人握りで。

 少し前までは、こんな幸せな光景を嫉妬しっと羨望せんぼうの眼差しで眺めていた夏彦も、まさかの当事者側。


 もしこれが夢ならば、ビンタ程度では目覚めることはできないだろう。ダンプカーに直撃されてようやく気付くくらいだろう。

 未だに夢見心地、不慣れな行為にド緊張している夏彦に、未仔は尋ねる。


「あんまり、ベタベタするのイヤ?」

「ち、違う違う! その……、今まで手を繋いだ経験なんかないからさ。緊張してるんだ」


 本心を打ち明ける夏彦に対し、未仔のとった行動は、


「えいっ」

「み、未仔ちゃん!?」


 答え。一層に密着すること。

 ただ手と手を握り合うだけでなく、夏彦の腕へと寄り添うように。

 腕と腕、肩と肩、未仔の髪や頬まで。小柄な彼女の半身が夏彦の身体へと触れ合っている。もはや、混ざり合っている、溶け込んでいるという表現のほうが近しいかもしれない。


「っ!!!!!」


 夏彦の背筋がピン、と張りつめてしまう。

 それもそのはず。


 おかえりなさいませ、おっぱい様。


 そう。当たり前におっぱいも夏彦へと密着しているのだ。

 未仔のテンピュール素材顔負け、柔らかボリューミーな胸が、夏彦の二の腕をこれでもかというくらい、ずっぽし包み込んでいる。

 さも、私の心臓の音を聞いて欲しいと言わんばかりに。


 実際そうだ。


「私も緊張してるよ? でもね、」

「で、でも?」

「それ以上にすっごく幸せなの」


 夏彦の煩悩が一瞬で吹き飛んでしまう。

 それくらい、幸せを口にする未仔からは、幸せが溢れていた。

 簡単に伝わって来てしまう。自分がいかに愛されているか、大事にされているのかが。


 未仔の気持ちを感じ取った夏彦は、ただ緊張しているだけでは勿体無いなと思った。

 1人で緊張するくらいなら、未仔と一緒にドキドキするほうが絶対良いに決まっていると。

 だからこそ、自然と笑みがこぼれてしまう。


「だよね! 俺もすっごく幸せだ!」

「うん♪」


 夏彦のたった一言だけで、未仔はさらに笑顔を弾けさせる。

 そんな未仔の笑顔を見ただけで、夏彦もさらに笑顔になってしまう。

 まさにバカップル。末永く爆発しろ状態である。






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‐挨拶‐

今年もお疲れ様でした。

投稿開始から10日くらいで、ここまで読んでいただけるとは本当にビックリしております。

年の瀬に良き思い出をいただけて嬉しい限りです。


少しでも笑いや癒しに還元できるよう来年からも頑張っていきます。

おっぱいフレンズのために。残念な――、失礼。かけがえのない盟友たちのために。


というわけで、明日も投稿します。おっぱい普及するために休まず投稿します。

2020年もよろしくどうぞ!

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