4話:おっぱいを揉みたいと叫ぶ30分前の話 PART3
「ほんと、お前ら仲良いのな」
アイスコーヒー片手に、コンビニから戻ってきた少年が2人へと話しかける。
彼の名は、
どこか気だるそうな、アンニュイな雰囲気を漂わせる彼は、琥珀に負けず劣らず顔立ちが整っている。
高身長、細身な体躯にスラッとした
黒髪ショートな髪型は、必要最低限のさりげないポイントだけを整えている。いかにも「オシャレ頑張ってます!」とガチガチにスタイリングを施す有象無象な集団とは、明らかに一線を画している。
人気があったり、モテるのは言わずもがな。
ちなみに、琥珀もモテるのは確かだが、ガサツさが知れ渡っているために人気度が少し落ちる。夏彦はお察しの通り。
「草次からも言ってやってくれよ!」
残念な夏彦、草次に救援要請。マガジンの根は深い。
「あのガサツ関西女が俺のこといじめるんだって。!? ほ、ほら! 中指立ててくる! あの中指へし折ってくれよ!」
「そんなことしたら、夏彦の指、全部へし折られるんじゃね?」
アへ顔Wピースもとい、ドヤ顔W中指だった琥珀が目を輝かせる。
「それめっちゃエエ、アイデアやん! 『ナツの指、全部へし折ってみた』 これで1本の特番作れるんちゃう?」
「池の水抜くみたいに言うなよ!」
ケタケタ笑う琥珀は「逃がすものか」と、夏彦の肩へとガッツリ手を回す。男子だろうとお構いなしのボディタッチは琥珀ならでは。
「草次のせいだ! 草次が余計なこと言ったせいだ!」
「知らねーよ」
軽く笑う草次は、夏彦が絡まれている光景を
草次と2人は、若干の距離があるように見えてしまう。
しかし、これが草次にとって、夏彦たちにとって、最適な距離感。
人間関係とは面白いもので、誰もが和気あいあいと騒ぎたいわけではない。
草次は当事者より傍観者を好む。これくらいが丁度良いのだ。
これくらいが丁度良いからこそ、人気があろうがカーストトップに君臨する力を有しようが、草次は頂点を目指そうとしない。
カースト上位特有の付き合いも面倒だと思っているし、自分の恩恵にあやかろうとしている者たちも、おおよそに分かる。ウンザリさえしている。
だからこそ、草次は夏彦を気に入っている。
毒気のない、媚びようとしない人畜無害な性格を高く評価している。
琥珀もそうだ。男勝りな自分を友として見てくれる夏彦だからこそ、存分にボディタッチすることができる。
故に、人気は高いが、どこか風変わりな2人は夏彦といることを好む。
夏彦のことを誰よりも評価している。
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‐告知‐
もうそろそろ、夏彦が壊れます。
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