月と海
阿尾鈴悟
活動日誌『あとがき』、及び活動日誌『まえがき』
悲しくはないよ。だって、今まで辿ってきたレールの先は、ここに着くって知っていたから。でも、やっぱり、約束を守れそうにないことだけは、残念に思うんだ。
*
学校の屋上は使えない。安全上のだの、防犯上のだの、言い訳の見本市みたいな理由で、屋上へのドアノブにはホコリが積もっている。それも夜に使いたいなんて、顧問の教師でも許しはしない。僕が顧問でも必ずそうする。だって残業も許可取りも面倒だ。
だから僕は自宅の屋根から
宇宙はあまりに遠くて広いすぎる。仮に宇宙地図なんてものがあったとして、その地図からたった一人の知らない誰かを見つけるなんて、きっと出来っこないだろう。僕を米粒のようにしてしまう地球が、米粒のようになってしまうほどに宇宙というのは及びもつかない。
広い宇宙を見るために、望遠鏡で宙を切り取る。小さな宇宙を絵画に見立て、かつての星と今の星とを比べながら鑑賞するのだ。まあ、セールを狙って自費で買った●●望遠鏡では、比較もたかがしれているけど。
前述の通り、それが中核の活動。だったらもちろん外核の活動もある。それが今現在、記している活動記録である。この活動記録を読む人間なんて僕を含めているかどうか分からない。それにどんなことを書いていいのかもよくわかない。
分からないなりにまずは月から始めようと思う。天文学部として外すことが出来ない天体の一つだろう。それに、我々人類が現在置かれている状況を考えても、やはり記すべきだ。
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