第66話

 わたしがトイレから教室までの帰り道で、遠くから下品な女子の笑い声が聞こえる。12ホームだ。 内申の低い人たちが集められた教室である。要するに隔離病棟なのである。ま、わたしには関係ない。しかし、騒ぎ声が近づいてくる。


「ショップに行こう」などと聞こえてくる。


 そういえば今日は金曜日であった。わたしは彼を呼び出してタコ焼きを食べに行かないかと聞く。二つ返事で付いてくるらしい。高校の近所にあるタコ焼き屋に着くと二セット頼むのであった。わたし達が待っていると、12ホームの騒がしい女子達がやってくる。


「でへへへ……」


 下品な笑い声だ。


「うちら最強じゃん」


 何が最強なのであろう?一々、考えていると混乱するだけである。わたしは彼に学校で食べようと言う。裏庭に行けば静かに食べられる。今さらだが、彼と二人きりでタコ焼きを食べるなど大胆な行動であるなと思う。


「あ、あ、あのう。月之宮さん。昨日の深夜アニメ見た?」


 は?

 わたしは夜には寝る人種である。


「『鬼滅の刀』ってアニメなんだけど」


 話題に乏しい昨今はアニメでもいいかと思うのであった。半分冷えたタコ焼きを食べながら彼の説明を聞く。しかし、甘辛いタコ焼きは喉が渇くのである。わたしがバックからペットボトルのお茶を取り出すと。ひと口飲み、彼に差し出す。

彼は全部飲み干すのであった。こいつ、間接キスとか知らないのか?お茶を差し出して試した、わたしも悪いが。わたしは頭をポリポリかいて、タコ焼きを食べ終わる。

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