第51話

 昼休み、ベンチで寝ていると二人組の男子が声をかけてくる。


「俺らは化学部なんだけど、見るだけでいいから実験室に来ない?」


 ナンパかと思いきや、化学部の勧誘である。ま、ナンパと考える方が正しいな。

暇だし、付いて行く事にした。校内だし安全であろう。化学実験室に着くと黒カーテンを閉めてあり。真っ暗である。化学部の部員はアルコールランプを点けて影絵を始める。影の少女がダンスを始める。ほーっと見入っていると。化学の先生が入ってくる。


「お前たち、うちは化学部だぞ、演劇まがいのものは止めろ」


 怒られて、部員達は黒カーテンを開けるのである。なんだ、ホルムアルデヒドで爆睡コースかと思ったが終わりである。わたしは怒られている部員達を残して帰るのであった。教室に戻り、空を眺めていると、化学部の顧問がやってきて。


「バカどもの失礼をお詫びします。この砂時計で許して下さい」


 あん?

 砂時計?


 普通に要らないがくれると言うので貰う事にした。顧問が帰っていくと、わたしは腕時計を使い砂時計が正確なかを調べる。


 さぁーさぁー

 

 緑色の砂が三分をかなり正確に刻んだ。これはなかなか面白いな。

しかし、やはり、要らない。わたしはお屋敷に帰ると夏に砂時計をプレゼントするのであった。夏の好みのハーブティーの蒸らし時間に使えばいいと考えたのだ。気前よく受け取る夏に試しにハーブティーを頼んでみた。


……酸っぱい。


 独特の味のハーブティーは香りを楽しむものらしい。ま、ナンパの産物だし。問題なかろうと思うのであった。

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