第49話
わたしは二十分、早く家を出る事にした。最近、課題が忙しいのである。廊下の中央にある自習スペースで課題を始める。あーこのペースでは間に合わない。体育の授業を休んで課題にあてる事にした。庶民の高校なので課題を適当にする人も多いが、わたしは違う。授業を休んでも結果は出す。月之宮家の人間としてのプライドだ。体育の授業中は屋上で作業を行っていた。
わたしは課題が終わると天を見上げる。すると、半分の月が見えた。こんな時間に月か……。あやかしに幻術でもかけられた気分だ。わたしは掴めそうな月を後にして屋上から下へ向かう。疲れた頭を癒そうと甘いジュースを飲む事にした。ジュースを買い、自販機の前でまったりしていると生徒会の人がやって来る。
「そこの女子、授業中よ」
面倒くさいのに目を付けられた。
「猫がいるの、あなたには見えて?」
勿論、猫はいない。
「……何処に?」
「あなたに見えないなら、猫はあやかしかしら?」
生徒会の人は気味悪そうに去っていく。わたしの勝ちだと思うのであった。人影がいなくなるのを確認してジュースの残りをゆっくりと飲むのであった。うん?今度は彼からメッセージである。
『寂しいよ』
ふん!たまにはいいだろうと思いメッセージを消去する。わたしは再び天を見るが月は出ていなかった。屋上の半月は幻術であったのであろうか?わたしは彼に確認のメッセージを送る。こんな事にしか使えない彼であった。それから、彼からの返事を見て。やはり、あやかしの幻術かと思うのであった。
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