第30話

 放課後、園芸部の集まりを倉庫前で行っていた。わたしはここでするのかと不機嫌である。日当たりは悪く、湿っぽいのであった。


 部長が「落葉置き場からたい肥になった物を運びましょう」と言う。嫌である。簡単に言って嫌である。


「わたしは嫌でですよ」


 勿論、皆の前で言ってやった。あまり、動揺しない部員達であった。どうやら、皆、嫌らしい。


「辛い作業があるから、綺麗な花が咲くのです」


 部長は当たり前の事を言う。だが、わたしは賛同しない。皆は渋々にたい肥を運ぶ。わたしは数分間、考えたが手伝う事にした。協調性のあるレディーでありたいからだ。月之宮家の人間として一人前の行動を取らねば。たい肥をバケツに詰め込んで中庭まで運ぶ……簡単な作業だが嫌である。一通り、作業が終わると、汗だくである。部長は本を読んでたい肥の使い方を調べている。わたしは数人を連れて体育館前の自販機でジュースを飲む。気前よく、おごってやりたいが先立つ物がない。ふぅ、今日はこれくらいで我慢してやると思うのであった。ジュースが無くなる頃には部長がたい肥の使い方を指示するのであった。やはり、嫌である。わたしは活動時間がどうのこうので部活を終える。手を洗うと教室でぼっーとする。

要は疲れたのである。


 彼はサッカー部であった。補欠として二軍のベンチを温める。基本的に運動神経が無いのであった。ま、取り柄のない彼らしい。


 うん?

 

 手ががさつく、たい肥を運んだからかと思ったが手を洗いすぎたらしい。潔癖症もいい加減に止めるか。さて、今日のスイーツ作りは何を作ろうと考えながら帰るのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る