#2.5 Épisodes

Devils are boarding the train



「して、どう爆るのでしょう」

 ハンチング帽を被った男は隣の山高帽子を被った男に尋ねた。

「爆るも何も、手配は全部ついている」

 山高帽子の男は答える。

「あとは俺がお前に手順を全部説明するだけだ」

 そう言いながら、山高帽子の男は辺りを見回す。

「……と思ったが少し待て、後ろに国家憲兵ジャン=ダルムリーがいる」

 山高帽子の男は後ろの国家憲兵ジャン=ダルムリーの言葉に耳を傾ける。ハンチング帽も静かにしている。

『ねぇ、あのリュシーって子、あの子何なの? あの子もあの子で全くない訳じゃないじゃない。なのに何であんなに突っ掛かって来るのよ』

『男子である僕にそんなこと言われても困りますよ。自分で何とかして下さいよ』

『でもさ、おかしくない? ベルティエが突っ掛かって来るなら分かるけど……』

「……後ろは一体何の話をしてるんだ?」

 山高帽子が呟く。

「さぁ、奢らされでもしたんじゃないですか?」

 ハンチング帽が答える。

『でもも何も、そう言う話は女子の内輪の話にして下さい。男子の前でしないで下さい』

「女子会ってやつか? 大変だなぁ」

 今度はハンチング帽が呟く。

『それはごめんってばー、ほら、長い付き合いだからさ? つい、ね?』

「なんだ、ただの惚気か? ったく列車の中でイチャつくなよなぁ」

 山高帽子が毒気を抜かれたように言う。

「そうですね、ただの惚気っぽいですね。本当に、最近カップルはマナーが悪い。で、どう爆るのでしょう?」

 男2人の密談は続く……





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「……先輩、前の席」

「やめてよ、耳元で囁くのは」

「やばい連中ですよあれ」

「やめなさいって、分かってるわよ」

「どうします? 報告しときます?」

「いや、泳がせとこう。ところでシャル君、まだCEIR王立都市間急行鉄道の切符売り場って開いてるわよね?」

「先輩、まさか…」

「ふっふ〜そのまさかよ。私たちなら出来るでしょ?」

 先輩は余裕そうな表情だった。

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