不死の龍と孤独な少女
天ヶ瀬翠
Nth prologue
「早く来ないかなぁ、私の王子様」
少女はいつも一人で過ごしていた。
黒の髪の間から除く灰色の目が、雲一つ浮かんでいない空虚な空を見上げている。彼女は物心ついた時から、いつ来るか分からない何かを待ち続けていた。
少女はガラクタに囲まれて生きていた。
ページが途中から無くなった本や、錆びた金属片、底のない瓶に破れた布など。まるで子供が遊び飽きたおもちゃような、煩雑とした散らかりようだった。
少女は森の中にぽつんと立つ、釣り鐘型の岩山に住んでいた。
岩山の周囲だけ砂地になっており、一匹も生き物がいない。地上だけでなく、岩山の上空には鳥一羽も飛んでいなかった。
少女は今日も岩山の横穴から、東の空を見ながら何かを待つ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます