第六話 観光気分だった……

「劍、今から私の土地に行くぞ」

「アルナの土地?」

「あぁ、そうだ。私が占拠している土地だ」

「なんか凄そうだなぁ、行きましょう!」


劍はアルナに言われアルナが魔階となって占拠した土地、魔階アリカスに行く事となる。

なぜ、こんなに軽々しく話せているかと言うと、既に時はかなり経過していてもう1ヶ月はアルナの使いとして仕事しているためタメ口や呼び捨てになっている。


「劍ー!私は、先に魔階アリカスに行っているから劍は仕事してから来てくれ」

「了解、すぐ行きまーす!」


こうしてアルナは先に王階メルデルスから魔階アリカスに移動するのである。



これからあの悲劇が始まるとも知らずに……



次の日、王階メルデルスの領地の無限塔むげんとうの最上階付近にいる劍は、アルナと同じ階にいる魔階のバルクールに用事を済ませ、急いでアルナの元に向かおうとしていた時


「おい、劍!」

「は、はい!な、なんでしょう?ザァーク様」

「アルナはどこにいる?」

「つい先日、魔階アリカスに偵察に行きました」

「なんだと……劍、急いで魔階アリカスに行け!」

「ど、どうしたんですか?」


ザァークは明らかに今まで見せた事のないような顔をし、魔階アリカスに何かあった様な仕草を見せる。


「どうしたんですか?ザァーク様!」

「今、魔階アリカスに敵軍が来たとの知らせが入った」

「敵軍?でも、アルナの強さなら一人で……」

「なわけないだろう!その敵はインフェルスだ、そんで敵軍は1万人もの軍を連れ天階てんかいが3人と光階こうかいが4人……これはガチでマテリアルの領地を取りに来てる」

天階てんかい光階こうかいって……」


天階てんかい光階こうかいとは、インフェルスの上から順に、王階、天階てんかい光階こうかい使階しかい復階ふくかい重階じゅうかいの上位があり、その内の上から2番目と3番目の敵の幹部達である。

しかもインフェルスは最近、勢力を拡大し天階が12人、光階が24人と圧倒的戦力を誇っている。


まずいじゃん……

このままじゃアルナが殺られる。

急がないと……


こうして劍はすぐにアルナから教えてもらった上位しかできない技の浮遊魔法ふゆうまほうを使い、急いで魔階アリカスに移動するのであった。




魔階アリカス


「皆様!私は元気にしております、この領地をこれからも守っていきます!」


そう言っているのはアルナであり、それを聞いている市民達はアルナの事をよほど信用しているのか、歓声が飛ぶ。


「アルナ様!頑張って!」

「この土地も安泰だなぁ」

「知ってるか?この前、インフェルスがこの魔階アリカスの横に土地を獲得したって」

「そうなのか!?やばいじゃん!」

「でも、アルナ様がいるから安心じゃよ」

「確かになー」


アルナはとても市民から愛されていて浮かれている時、悲劇は起こった。

ある一人の男性が悲鳴を上げて門番の仕事を放棄してアルナの元にやってくる。


「アルナ様ーー!!!」

「急にどうした?」

「アルナ様に無礼だぞ!きちっとせんか!」

「それどころではありません!敵が、敵が、敵が来てます!」

「なんだと?」

「門番から見えるだけで敵軍はインフェルス、敵軍は少なくとも1万人はおり天階てんかいが3人、光階こうかいが4人います……」

「本気で攻めに来たか……」


市民はそれを聞き一気に混乱する。

ただでさえ上位の敵が来れば街が1つ破壊されるぐらいの戦争になるのに、天階が3人、光階が4人も来るとなるとマテリアル全土が破壊される可能性がある。


「村長、今すぐ使いの者に手紙を送れ!味方の援軍が来るまで私と数百の兵士で持ちこたえる」


こうしてアルナは数百の兵と共に敵を迎え撃つのであった。



そして半日が経過し、王階メルデルスの元に手紙が届き、援軍が送られる事となる。



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