第5話 お雑煮リレー
夜更けの台所からこんばんは。
これを書いているのは2020年1月2日。
年末にこしらえたお雑煮を食べ尽くして「そろそろカレーかハンバーガーが食べたい」と考えています。
我が家のお雑煮は具沢山の醤油味。私の母が山形なので、その味を引き継いでいます。
日本全国、ご家庭によりお雑煮もさまざまですよね。星の数ほどというのはオーバーかなと思いましたが、あながち言い過ぎではなさそうな。同じ町に住んでいても、まったく同じレシピのご家庭って思うより多くないと思うんですよね。
うちの姑のお雑煮は同じ醤油味でも具が違い、人参と大根、ほうれん草が入るそうです。
『入ります』ではなく『入るそうです』と書くのは、嫁いで6年たった今も、そのお雑煮を見たことがないからです。夫は姑のお雑煮があまり好きではないらしく、自然と姑も作らなくなったのだとか。
ところが、夫はなぜか山形のお雑煮を気に入ってしまったために我が家では毎年作っています。
つまり、義実家のお雑煮は息子には引き継がれず、そのかわり群馬に住んでいながら山形のお雑煮が伝わったわけです。
そう考えてみると、『うちの味』が代々受け継がれていくのって当たり前ではないのだな、としみじみ。家族の付き合い方や嗜好でパッタリ途絶えてしまうこともあるんですから。
毎年、年末になると北海道の母と電話で「お雑煮の具ってなんだっけ?」と確認しあいます。具沢山なので思い出すのも一苦労なんです。
昔は覚えたての私から問い合わせてばかりでしたが、ここ数年は母から「具を教えて」と電話がきます。そのたびに少しは自分が頼もしくなった気もするし、母の衰えを垣間見た気もして切なくもなり、一緒にいたら作ってあげられるのにとさびしくもなります。
もし『うちのお雑煮の作り方を教えてもらわなきゃな』と思いながらも後回しにしている方がいたら、ぜひすぐ教わることをおすすめします。
離れていても同じ味を持つことは、思った以上に郷愁で憂う心を慰めてくれます。お雑煮が繋ぐ家族のリレーは距離をこえて時間を繋ぐものだと思うのでした。
【深水家のお雑煮の作り方】
具は鳥もも肉、人参、大根、ゴボウ、白滝、干し椎茸、高野豆腐、あれば芋がら。
鳥もも肉は小さめに切っておきます。
人参、大根は細切りに。ゴボウはささがきして酢水に漬けて灰汁を抜きます。
芋がらや白滝、高野豆腐は食べやすい長さに切ります。
干し椎茸は切ってあるものならそのまま入れていいです。戻して切ったときは戻し汁も鍋に入れてください。生の椎茸より干したものをおすすめします。
大きな鍋に油をひいて鶏肉を軽く炒めたら、具をすべてぶっこみ、水、白だし、砂糖、みりん、酒、醤油を入れて煮る。これだけです。
食べるときはセリとナルトを飾ります。
このセリが欠かせない。あるとないとじゃ全然違います。ナルトはおせちであまったかまぼこで代用できると思います。だって練り物だもん。
どうぞ召し上がれ。
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