第3話 手羽元の中華風煮物の線引き
夜更けの台所からこんばんは。
今夜は手羽元の中華煮です。
手羽元を中華スープの素で煮込んだものですが、和風にだし汁で作ったときとはまた違う味わいです。
もちろん肉は骨からほろっと取れちゃうくらい煮てあります。うちの息子たちは骨をしゃぶるんじゃないかという勢いで食らいつく一品。
中華料理って大好き。
でも、あんまり自宅で作ろうとは思わないんです。
餃子くらいは……と思っても、あれはどうせ作るならたくさん作って大人数で楽しみたい。夫と二人では正直作る気になれないまま数年たちました。子どもたちがもう少し大きくなったら一緒に餃子包みます。
中華料理独特の材料を集めても使い切る自信はない。火力も足りない。なのでお惣菜や外食で楽しむと割り切ってます。
家事をこなす上では、どこかでそういう線引きをして楽するところはしないと身がもちませんわ。
でも『中華風』くらいなら楽しめます!
中華スープの素、万歳!
ところで、私のパート先の工場では、中国人の実習生たちが働いています。みんな二十歳前後の若さで日本に来て、会社が用意したアパートに相部屋で住んでいます。
お昼になるとみんな手作りのお弁当と金属製の箸を取り出して頬張ります。
食べているのはご飯の上におかずを乗っけたお弁当が多いようで、おかずの見た目や匂いがいかにも中華料理。作り方が気になるところですが、私は中国語がわからないのです。そして実習生たちも日本語を勉強していますが、まだほとんど話せません。
同僚は多国籍で中国人だけでなくブラジルやペルー、ベトナム、マレーシアの人もいます。悲しいことに差別的な発言をする日本人の先輩もいます。
お昼時間にご飯を頬張り、おかずを交換し、動画を見せ合って笑い、おしゃべりを楽しむ実習生たちは日本人の若者と何も変わらない。
実習生にも先輩にも良いところ困ったところがあるのは同じなんですけどね。
ただ日本語を話せないだけ。そして差別する先輩は日本語しか話せないだけ。
差別って区別の線引きするときに自分が上から相手を見て線を引いたら生まれる気がします。
たまに自分がどこに立ってどう周りを見渡しているか、気をつけなきゃなと思います。
だって自分の言動はまわりまわって自分にかえるってこと、四十路にもなると身にしみていますからね。
【深水家の手羽元の中華風煮物の作り方】
茹で卵を作っておきます。ネギもあると嬉しいですね。
深めの鍋で手羽元に軽く焼き目をつけたら水、中華スープの素、砂糖、みりん、酒、醤油、生姜、お好みでにんにくを入れます。
茹で卵を加えて落とし蓋をし、しばらくしたら蓋をとってネギを入れ煮詰めます。
どうぞ召し上がれ。
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