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桜が綺麗だ。
天気がいいわけでもないけれど、あたたかくもないけれど外はこんなにも心地がいいんだっけ。
下から君が登ってくるのが見えた。
ここまでくると、愛しそうに景色を眺めた。
その瞳にはいつかの思い出が映っているのだ。僕は知ってる。僕だってそうだ。
いつまでも見ていたかった。
まだ一番見たかったものを見ることができていないからここに来ているのだろう。
きっと、見つけてもまた忘れるんだろう。また思い出せるように。
ずるいよな。
彼女は笑った。
ああ、これで最後なのだ。
最後だ。
目を閉じるとき、また目覚めたら憶えていられるように幕が閉じて真っ暗になるその瞬間までわざと涙を流した。
春の街を歩いた よる @yoru_0825
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