死んじゃったぼくからの手紙

Saaara

日曜日の手紙

パパへ、これは死んじゃったぼくからの手紙です。

ぼくは一週間後、死のうと思います。

ぼくが死んだあと、パパが悲しくないように、手紙を残しておこうと思います。

きりがいいから一週間、書くね。

毎日読んでくれたら嬉しいな。


ママには内緒にして欲しいんだけど、おばあちゃんが死んだとき、ぼくはあまり悲しくありませんでした。

ずっと意識がなかったし、意識がなくなる前もボケてたし、ぼくのこともパパのことも忘れてたよね。

実の娘のママのことだって、最後には忘れてた。


ぼく、嫌だなぁって、せめてママのことだけは覚えていてくれたっていいのに、と思いました。

パパとママが、話し合って、これ以上の「延命」ってやつをやめたとき、ぼくもそれがいいと思ったよ。

おばあちゃんだってきっとそうして欲しかった。

だって、何もできないのに息だけしてるの、つまんないよね。苦しいよね。無駄だし、意味ないよね。

お金だってきっといっぱいかかってるし、ご飯も食べられないのに、ぼくだったら嫌だ。

ぜったい、ぜったい、ぜったいに嫌だ。


脱線したけど、何が言いたいかって言うと。

人って簡単に死ぬんだなーって。

点滴の量を減らすだけで、心臓が大人しくなって。

結局、一週間くらいで、止まって。

ママは泣いてたけど、ぼくは泣けなかった。

なーんだ、こんなもんか、ってね、思うよね。


ということでぼくも死のうと思います。

あんなに簡単なことだし、生きていても別にやりたいこともないし。

だけどさ、ちゃんと分かってるんだよ、ぼくだってもう、中学生だから。

ぼくが死んだら、パパやママが悲しむってこと。

それよりも、世間? から色々言われそう、ってこと。


この手紙で宣言しておくけど(誰かに何か言われたらちゃんと見せてね!)

ぼくはいじめられてもないし、特に嫌なこともない。

でも別に生きていたいわけでもないから、おわりにしようと思うだけです。

死ぬのはその人の自由でしょ。

ぼくの命は、ぼくのもの。


パパはぼくの友だちみたいなもんだし、特別に手紙を残します。

ママには悲しまないでって伝えて欲しい。

夕夏もいるし、大丈夫だよって、言ってあげてください。


日曜日の手紙、おわり。

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