3・かぐら骨董店

1・骨董店への道のり

 どうしてこうなってしまったのだろう。


 別にお金に困っているわけでもない。


 母は専業主婦だけど、父は大手企業の課長なんてやっているから、それなりに稼ぎもいい。バイトしないといけないほどにほしいものはないし、毎月のお小遣いももらっている。


 けれど、なぜ俺はこんなところへ来てしまったのだろうか。


 杉原弦音すぎはらつるねは頭を抱えながらも、学校から家とは反対方向へ向かう電車に乗り、三鷹へとむかった。


 三鷹にはたしか井之頭公園があったような気がする。


 その敷地内には「ジブリの森」


 中学生の妹が行きたいと言っていたのだが、いまだに行けていない場所だ。別にジブリに興味があるわけではないのだが、一度はいってみてもいいかもしれない。


 東京生まれの東京育ちではあるのだが、すべてを知っているわけではない。むしろ、知らないことが多い。基本、全国民が知っていそうな地名と、学校のある付近。自分の家のある付近といったところだろう。三鷹なんて初めてくるのだから、電車に乗るのにも少々戸惑った。


 どの線に乗ればいいのやら、いまいちピンとこない。


 ちゃんと詳しく教えてもらうべきだった。


 改札口を抜けて、駅の外へと出て、喫茶店の前で待っていろと言われている。そこにいけば、迎えが来る。そういうことで、目についた喫茶らしき店の前で待つことにした。


 本当に来るのだろうか。


 弦音はまっている間、先日の出来事を思い出していた。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る