こんな私ですが

こゆき

第1話 私とゲームと・・・何この人

『ズダァンッッブシッギィンッ、ドンッッ!!!』

 ものすごい効果音とカチカチカチカチ・・・とコントローラーを連打する音が、私の日常。【MISSION CLEAR】の文字が画面に浮かぶ。

 ・・・よっし。

 心の中ではガッツポーズを取っているけれど、感情が表に出にくい私は、無言でアクションゲームをやっているヤバい人にしか見えないだろう。

 そんな自分に嫌気が差す。こんなだから、友達もできないし、内気な自分をいつまでたっても変えられない。

 ため息をついた、その時だった。

「・・・すっっご!!!」

「え!!?」

 反射的に大声を出してしまって、恥ずかしくなって口を手で覆う。

 ・・・何、この人。

「あ、ビックリさせてごめんね!」

 声の主は、私のちょうど後ろにいた。

 その人は男子で、色白。たれ目に茶髪と、可愛らしい感じの人だった。私と違っ て・・・。

「すごいね、さっきの!」

「え、え?」

「今君がしてた、ゲーム!」

「い、いや、そんな・・・」

 急に話が戻ってきてビックリする。でも、さっきの「・・・すっっご!!!」は、そういうことだったんだ。

「ねぇねぇ、名前なんていうの?俺は、橘悠飛」

「え・・・と、須藤莉衣です」

「そっかー、莉衣くんかー」

 ・・・・・・え?

「あ、あのっ!私・・・」

「あ、ヤバい、俺行かないと。じゃあね莉衣くん!」

 私が誤解を取り消そうとする前に、橘くんは行ってしまった。

 一人取り残されて、今度こそ大きくため息をつく。

「ま、仕方ないか・・・」

 女子で170cmという高身長。そりゃあ橘くんのほうが背は高かったけれど、高3男子としては充分な身長だ。そして、切れ長の目に黒いフレームの眼鏡、パーカーにジーンズとシンプル目の服装。女子力の欠片もない。

 橘くんのほうが、よっぽど女の子っぽく見えた、失礼かもしれないけど・・・。

 そんな私が一番好きで、得意だったのは、ゲームだけだった。

 

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