鉄と氷の融解点
よもぎパン
愚かな女の最期
アーニャが死んだ。寒い夜のことだった。
アーニャは私と同じ孤児院に住まう、私と同じ年頃の少女だった。
金色がかった栗毛と緑色の目を持つ、薔薇色の頬が美しい少女だったが、少しばかりおつむの方が残念だった。故に、彼女は命を落としたのだ。
感情すら凍てつくほどの寒さ。雪の降る中、ろくな葬式も出してもらえず、くたびれたオモチャ箱のような棺に押し込められた少女に花を手向けながら、私は思う。夢なんか見ているからこういうことになるのだ、と。
親に捨てられ、凍てつく世界で生きる私達が夢を見ること自体が間違いだ。
明日の食いぶちを稼ぎ、生きることだけを考えていればこうはならなかったものを。
痩せこけ、灰色になった少女の頬を見て思う。
私は絶対に、夢なんて見ない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます