新約 メフィストフェレス「改訂版」

三文士

プロローグ

 突然だけどアンタ。今この活字を目にしてるアンタさ。


 少なくともこれが読めるってことはアンタは犬じゃないってことだよな。猫や魚、虫や鳥でもない。だがなんだっていい。この声が届けば。


 よし、アンタに質問だ。


 人は死んだらどうなると思う?動かないタンパク質のカタマリ?水分やその他多くの物質の成れの果て?そんな言い方は止めてくれよな。それじゃあんまり色っぽくない。あたしが聞きたいのはこういうことさ。


 つまり、魂は何処へ向うのかって話。


 肉体とはただの容れ物で本質は魂にある。肉体の死後、そこを離れた魂は何処へ向うのか。


 天国?地獄?大地獄?なあなあ♪どこだと思う?


 え?死んだらそれまでだって?


 おいおい。じゃあ死んだら「無」かよ。何も無くなって終わりかい?地獄も天国もナシ?


 そんな退屈な考え止めなよ。せっかくなんだから楽しく死ななきゃダメだ。


 ま、どう考えるかはアンタの自由だがね。


 だが覚悟しておくんだな。


 何故って?


 アンタみたいな不信心バチアタリは、死んだらきっと酷い目にあうからさ。

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