第1300話 ゆっくりと寝させて貰おう。的なお話

宿に帰るとセフィア達がいつも通りの笑顔で出迎えてくれる。

今回は向かった先が先だからかもう一部屋のメンバーも出迎えてくれてる。


「ただいま。」

「おかえり。リュウガミネさん所はどう……ん?」

「どうした?」

「いや、ちょっと……んー。」

「な、なんだ!?」


ちょっとと言いつつセフィアが何故かユキノの服の匂いを嗅ぎ始めた。

するとそれに何かを察したのかリリンとルリエもセフィア同様にユキノの匂いをくんかくんかの嗅ぎ始める。

そして3人はある場所の匂いを嗅ぐとピクリと眉毛を動かした。

というかそこは!?


「ここからレントの匂いがするね。」

「ん。」

「します。」


セフィア達が示した場所はさっきまで俺の肩と触れ合っていた場所。

いやいや、君らどんな嗅覚してんのさ!?

セフィアはまだ分かるよ!?

獣人さんだし!

狸は犬科だから嗅覚が鋭くてもおかしくはないよ!?

でも2人は人族だよね!?

なんで分かるのさ!?


「ふふっ……なるほどねぇ。歓迎するよ。」

「ん。」

「色々とお話聞かせてください! きっかけとか、いつからとかそういうのを。」


予想通りではあるけど……3人にはすぐに受け入れられたみたいだ。

しかし、なんですぐに分かるのか……謎だ。


3人の反応でどういう事かを理解したらしく、他のメンバーも動き出した。

シアとルナは俺達と合流する前はユキノとパーティを組んでいたからか、普段はこういう時にそっけないという感じだけど、今回は流石に気になるようですぐにユキノの元へ向かっていた。

レイダさんは動く事はなかったけど、やはり気にはなるようで聞き耳を立てている様子。


「今度は一体どんな手を使ったのよ?」

「手って……別に何もしてないっての。なんか知らないけど、ユキノが突然俺の事を好いているって言い出したんだよ。お陰で驚き過ぎてどんな話をしていたのか半分も聞こえてなかったくらいだ。」

「どんだけ驚いているのよ……。」

「そんな事想像してなかったんだから仕方ないだろ……そもそもなんでそんな話になったんだか……普通にお茶会か何かをすると思ったんだけどなぁ……。」

「相手は大名なんだからそんな甘いわけないじゃない。お茶会なんて本当に親しい間柄じゃなければ大体は周りへのアピールかなんらかの裏があるものよ。」

「それはまた夢のない……。」


アカネはこっちの方が気になったみたいだ。


「所でさ。これで紅玉の絆ルビーリンクも残すは後1人となったわけだけど、どうするの?」

「1人って、私の事!?」

「それ以外にいないでしょ。」

「どうするも何も無いって。別にそうなる為に集めてるわけじゃないからどうにかなるわけもないだろ。そもそも蒼井が俺を好きだと言ってくるとも思えない。」

「それはそうだけど、どうにかなるわけもないっていうのはなんか腹が立つわね。」


個人的に言えば、今となっては蒼井を手放さないといけないという事になって欲しくないがな。

浅ましい独占欲だとは思うけど、蒼井が居なくなるのはなんか嫌だしこのまま楽しくやって、そんで関係を持つのも悪くはないと思えるようになってきてる。

それはユキノの事があったからかもしれない。

でもそれはただの独占欲、俺のエゴだ。

好きか嫌いかで言えば好きだろうけど、でもこちらから言う事はあり得ないだろうし、向こうから言ってくる事もまたあり得ない。

だから、このまま何もないままだろう。

そして、いつか俺の側から離れていくんだろう。


でもそれも仕方ない。

ハーレムを築いている俺が自分に課したケジメなのなから。


「それよりも、風呂に行かせてくれ。どういうわけか、何故かキリカさんと模擬戦をする事になって汚れてるし。」

「いや、なんでそうなったのよ。」

「俺にも分からないよ。本当に何故かそうなったんだから。」


風呂に入って、その後は夕食を楽しんだが、夜はそういう事はなし。

ユキノは大名の娘だし、親の許しもなしにそういう事は流石に出来ないよ。

それに模擬戦で疲れてるし。

というわけで今日はゆっくりと寝させて貰おう。

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