第1275話 鈍ってないといいんだけどね。的なお話
しばらくのんびりしてると蒼井とユキノが帰ってきた。
どうやら蒼井は遊び歩いていて、ユキノは一度ヒノモトにあるキサラギ家の屋敷に寄っていたようだ。
そして今は夕飯時という事で夕食を食べているのだが、その際に聞いておいた方がいいと思ったことがあるからそれを聞いてみる。
「アデラードさん達はこの後はどうするんですか?」
「明日の朝イチで帰るつもりだよ。流石にこれ以上ギルドを空けるのはよろしくないしね。」
「私も短い期間で休み過ぎてますから。」
「私もあんまり店を空けてるとお客様が逃げちゃうっすから、一緒に明日帰ろうって話になったっすよ。」
「そっか……なんか寂しいな。」
「仕方ないよ。そんなに寂しいならできるだけ早く帰ってきてよ。」
「そうしたいけど……まだしばらくは無理だから。少なくとも約束を守らない事にはどうにもね。」
「まあ、大名は貴族みたいなものって話だし、その大名からの誘いを断るのはよっぽどの理由がない限りはやめた方がいいだろうね。」
「ですよね。」
そっか。
明日帰っちゃうのか。
「というわけでね……今夜は私達だけが相手だから、よろしくね。」
「はい?」
「セフィアさん達が、「僕達は一緒に居られるから今日は3人だけで目一杯楽しんでね。」との事です。」
「そ、そう……。」
楽しんでって……。
ま、まあ、3人なら昨日今日みたいに昼起きになる事はないだろう。
◇
「それじゃあ、私たちは行くね。」
「帰ってくるのを待ってます。」
「また会えるのを楽しみにしてるっすよ。」
「俺も、俺達も3人とまた会えるのを楽しみにしてる。」
そして3人はリリンに連れられてリステルまで帰って行った。
たった3人なのに、居なくなるだけで物足りない、どこか寂しい、そう感じてしまうから不思議だ。
たった3人、たった数日。
一緒にいた時間はそれだけだ。
しかし、それだけ3人の存在が特別なんだという事でもある。
……このまま3人の事だけ考えているというのもよくない。
ちゃんと気持ちを切り替えないと。
「それで、今日これからの事を話す前に、ちょっとユキノに聞きたいんだけどさ、ユキノのご両親に挨拶とかしたいんだけど、いつ行けばいい?」
「あ、挨拶だと!? そ、それは一体どういう意味で言っておるのだ!?」
「どうって、ただ単に折角会えるのなら会った方がいいかなってだけだけど。」
「そ、そうか……。」
「後リュウガミネさんからも誘われてるんだけどさ、連絡が来るらしいんだけどどうすればいい? ずっと待ち続けるのはちょっとキツいし。」
「ああ、それならしばらくは大丈夫だと思うぞ。今は国の大名が集まっての会議をしているのでな。」
「そういえばそんな話もあったような……。」
「あったようなではなくあったんだがな……まあ、とにかくそういうわけだから数日の間は問題ないと思うぞ。」
「でもそれならスズランさんはどうして来れたんだろう?」
「それは私と同じだ。スズランさんはあくまでも娘であって大名本人ではないからな。一部を除き大体は大名本人のみの参加だ。」
「そうか。」
どうやら今日明日くらいなら問題はなさそうだな。
それなら……。
「んー……はぁ。それじゃあ模擬戦をしないか? 最近は全然冒険者らしいこと出来なくて鈍ってそうだからさ。」
身体を伸ばしつつそう聞いてみる。
「そういえば僕達もここ最近はそういう事はしてなかったね。いいよ、やろう。」
そう来なくっちゃ。
さて、久しぶりの模擬戦、久しぶりの戦闘。
頑張らないとな。
戦闘勘とか鈍ってないといいんだけどね。
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