第1274話 これがジレンマという奴か。的なお話
宿に帰ると嫁達が出迎えてくれる。
何人か居ないのも居るけど。
蒼井とか蒼井とか蒼井とか。
他にはユキノも居ないな。
ユキノの方は家族のところに行ってるのかもしれない。
封竜祭が終わったのだから役目を果たしたとしてその辺の事を家族の人達に説明しに行ってるんだろう。
家に寄る暇があったら役目を果たせとかなんとか言われるって言ってたし、ならその役目を果たしたら会えるって事でもあるからな。
ひょっとしたら蒼井に付き合わされてる可能性もあるけど。
そしてもう1人。
この人にはあまり会いたくなかったんだけどなぁ……面倒だから。
まあ、これで最後だろう。
封竜祭が終わり俺の英雄役としての役目も終わってる。
役目を終えた後も追いかける必要は無いだろう。
むしろ終えた後も追いかけるインタビューってなんだって話だ。
スズランさんのインタビューは1時間程だが、その1時間は濃密な時間となった。
これまでを振り返ってとか、やり終わった後どう感じたとかその辺は当然として、キリハさんの事を異性としてどう思ったかとか、他のメンバーに対して不満は無かったかとか結構踏み込んだ内容とかもあったからな。
キリハさんは美人鬼っ子というのは高評価だけど嫁さん達の方が評価はもちろん高い。
だからそこまで面白い答えでは無かっただろう。
ヒサギさんとアルフレッドに関してはハーレム男故に男友達が少なかったから、むしろ仲良くなれて嬉しかったまであるし。
インタビューを終えるとすぐにスズランさんは帰って行ってしまった。
最高の本になりますわー! なんて言いながら出て行ったからどうなるのかちょっと怖いな。
「お疲れ様、レント。」
「ああ、本当にな。本が出た後が怖いよ。」
「本当にね。僕達もレントを待っている間に色々聞かれたから、どう書かれているのかちょっと怖いよ。」
「取材には余念がないみたいだし優れた記者になれそうだな。取材対象にされるのは勘弁だが。」
「あはは……。」
セフィアが乾いた笑いを漏らす。
俺は1時間だけだったけど、それはこれまでのがあったからだ。
それに対してセフィア達はこれまでの事を時間の許す限り聞かれたんだろうなぁ。
えーと、昨晩は後夜祭の後嫁達に襲われて昨日と同じく今日もお昼前ごろに起きて、そんで昼を食べてから俺は1人散歩に出ただろう?
そんで帰ってきたのが4時半くらいだから……3時間くらいか?
いつ頃訪ねてきたのかは分からないがそれくらいは取材されただろう。
そら疲れるわ。
「羽伸ばせた?」
「んー、どうだろうなぁ? 街に出たはいいけど変装してだからなぁ。カツラに帽子に伊達メガネってのはまだ慣れないし、祭りの後ってのもあってなんか寂しさを感じちゃったしな。そんで帰ろうとしたらしたでスリに遭うしでさ。気を休ませる事はあまり出来なかったかな。」
「え、スリに遭ったんですか!?」
「まあな。」
「悪意感知は?」
「もちろん悪意が向いているのには気付いていたよ。でも相手の見た目が子供だったからさぁ……もしかしたら生きるために仕方なくって可能性もあるしどうしようかって思っちゃってね。ま、結局そいつは魔法か何かで見た目を変えてただけの大人だったんだけどね。だから捕まえて出すところに出してきたよ。」
「で、帰ってきたらスズランさんが居たと?」
「そ。昨日の今日なのにな。あの行動力はすごいよほんと。」
だからといって付き合わされる方は大変なんだけど。
まあ、とはいえ、これまで付き合ってきたわけだし最後まで完成させて欲しいとは思うけどね。
本が発売されるようになったら買うかどうか悩むなぁ。
怖いもの見たさがあるけど、美化されてたりすると恥ずかしいし、リアルを描かれててもそれはそれで恥ずかしい。
でも気になる。
うーむ、これがジレンマという奴か。
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