第1230話 フミカゲさんやヤスカネさん達も来るのかな? 的なお話

着替え終えた俺とヒサギさんは舞台袖に向かう。

その道中で会った祭りの関係者の人にアルフレッドの事を伝えたところ、困ったような感じではあるものの体調不良になったのがアルフレッドで良かったって表情をしていた。

いや、俺に何かあった時の為の保険として補欠要員を用意していたんだろうが。

その補欠が真っ先にリタイアしているんだから良かったっていうのはどうかと思うんだけど。

まあ、表情からそう読み取っただけだから本当にそう思ってるとは限らないけどさ。


「まだキリハさんは来ていないみたいだな。」

「女性の着替えが長いのなんて分かりきった事であろう。」

「それはそうなんだけど、俺はこの衣装に慣れてなくて着るのに時間が掛かったからもう来てるかと思って。」

「向こうは向こうで着るのに時間が掛かりそうだからな。それに化粧も含めればより時間がかかるであろう。」

「あー、そっか。そういうのもあるか。」


晴れの舞台だからな。

そりゃ化粧の1つや2つするよな。


「それはあなた達もですよ。誰に見られても恥ずかしくない立派な英雄と竜に仕立ててあげますよ。」

「ひっ!」

「むぅ……。」


俺達もあるんですね。

ちょっと考えれば分かるだろうに……俺の馬鹿。

それはそれとして、いつから居たんだよ。

全然気付かなかったんですけど……。

何?

執事か何かなの?

執事には神出鬼没のスキルがデフォルトで備わってるって言うし。


メイク担当の人に引き摺られてそのまま化粧室みたいな所に連れ込まれる。

そこで髪をセットされ、化粧もされれる。

化粧自体はそこまで時間をかけていないので別人みたいになってるって事はないが、それでも目力が強くなり、鼻筋がくっきりし、眉毛も整えられて……なんていうか、顔の印象が強くなってる。

こういうのはよく分からないけど、そう感じる。


「はい出来ましたよー。」

「ありがとうございます。」

「いやー、素材が良いですから私大した事出来なかったんですけどね。それでも素晴らしい出来です。これまでで1番の仕上がりですよ。」


まあ、黒髪黒目の日本人ですからね。

そりゃ他の人よりも手を出すポイントなんて少ないだろう。

他の人だと髪を染めるなりカツラを被るなりするだろうし、目の印象を黒っぽくする為の化粧なんかも必要なのかもしれないし。


「ヒサギさんの方はどうですか?」

「もう少し待ってくださいね………………後は、これで……はい、出来ました。」

「感謝します。」


そうして出来上がったヒサギさんだが……衣装も相まってかなりおっかない感じになっている。

いや、設定的には国を脅かした悪しき竜というものだからおっかない感じになるのは当然なんだろうけど、実際の話を聞いた身としてはちょっと複雑だな。


「どうだろうか? 立派な竜にみえるだろうか?」

「竜というよりかは恐ろしい竜人だな。とはいえ、敵役として素晴らしい出来だと思う。」

「そうか。では、今度こそ行くとするか。」

「そうだな。」


化粧をしてくれた人達にもう一度礼を言ってから部屋を出て舞台袖に行く。

しかしまだキリハさんは準備が終わっていないようで来ておらず、代わりにと言っていいかは分からないけどケンゾウさん達が居た。


「お、立派になったな。」

「緊張した様子もないしこれなら心配なさそうだな。」

「アルフレッドの事は聞いている。あいつの分もしっかりやれよ。」

「「はい!」」


本番まで後1時間。

そろそろ大名達が来る頃だろうか。

そういえばフミカゲさんやヤスカネさん達も来るのかな?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る