第1221話 巻き込まれるのは勘弁だからね。的なお話
〜優姫視点〜
こういう時は大体恋バナって相場は決まってるし、まずは軽くジャブとして初めて会った時の印象から聞いてみる。
「最初に会った時の事?」
「そうそう。最初見た時どんなふうに思ったのかなって。」
「最初はまあ、変わった人だなって思ったわね。その辺の話は前にしなかったっけ?」
「そういえばなんか聞いたことあったような……。」
「それで一緒に試験を受けたんだけど、ルナがああだから最初は少し心配だったのよ。でも優しいし気遣いとかもしてくれる良い人だなって、思うようになったわね。」
「そうなんだ。」
「と、私の事はこのくらいにして、私もユウキが最初にレントに会った時の事、聞きたいわね。」
「え、私!? でも、そんな面白いものじゃないわよ……?」
「私も話したんだから、当然教えてくれるよね?」
「うっ……はぁ〜、分かったわよ。話す。話します。言っとくけど、誰にも言わないでね。特に風見には。」
「分かってる分かってる。」
「最初に会ったのは4歳かそこらだったかな。家が近所だからね。歳も同じということもあってご近所付き合いの一環で引き合わされたのが最初かな。」
「その時レントの事どう思ったの?」
「どうって……まあ、その、かっこいい、かな。いやほら、子供の時なんて簡単に好きになっちゃうじゃない! あれよあれ! 好意は有っても親愛と恋愛の区別がついてないじゃない? だからただかっこいいって思っただけで、別に恋愛的な意味とかは全然無いからね!」
「私まだ何も言っていないんだけど?」
「うぐっ!」
しまった……。
完全な自爆だ。
これじゃ私が風見の事好きみたいじゃない!
「それでそれで? その後はどうなったの?」
「どうって、何もないわよ。普通に仲良くなって、普通に遊んだりしてただけよ。」
「本当に? 実は何かあったりしたんじゃないの?」
「本当になにもないわよ! というか、なんで今日に限ってそんなぐいぐい来るの!? セフィア達のが移った!?」
「言われてみれば確かに私らしくないかも……。」
「でしょ?」
「でも、こうして2人っきりなのはそうそう無いんだし、色々と話したくはあるのよね……。」
「それはまあ……そうかも。」
「そんな変なこと聞かないからさ。少しくらいいいでしょ?」
くぅ……。
これだからエルフは……。
綺麗で可愛いとか卑怯でしょ!
そんなふうにお願いなんてされたら、女の私でも断れないじゃない!
「少しだけだからね。」
「ありがとね。ん〜変な事じゃないとなると……そうね。ユウキから見て昔のレントのこういう所がかっこよかったとか、可愛かったとかそういうのを教えて?」
「それのどこが、変な事じゃないって言うのよ……?」
「一般的な価値観から見てって話であって、それでユウキが好きになったーとか、気になるようになったーとか、そういうのじゃなくて、あくまで一般的な話よ。演劇でも、かっこいい人とか可愛い人とかいるでしょ? そんな感じでいいわよ。」
「まあ、それなら……。」
といっても、昔は普通の奴だったからかっこいい所って言われてもねぇ。
あ、でもいわゆる世間一般でのかわいい所ってのは今思い返せば結構あるかも。
子供の時は一生懸命でも、ある程度年齢を重ねるとそれが微笑ましい物に見えたりするし。
そういうのならそれなりにあるかも。
「ちょっと違うけど、今なら可愛らしいって言えるのならあるかな?」
「どういうこと?」
「ほら、子供の頃は本人は真剣でも親とかが見たら微笑ましいというか可愛らしいものってあるじゃない?」
「あー、あるわねそういうの。」
「そういうのなら幾つかあるけど、それでいい?」
「いいわよ。聞きたいのはレントの子供の頃の話だしね。」
というわけで、レントの子供の頃の可愛らしい……今となっては恥ずかしいであろう話を沢山した。
学芸会とか運動会、後はちっちゃい頃の野良犬に怯えつつも必死に妹を守る話とかそういうの……。
あれ、野良犬だったっけ?
それに、守っていたのは唯ちゃんだったっけ……?
髪の色が違うような……でも知り合いに黒じゃない子なんて居るはずもないし……。
じゃあこの記憶は一体……?
ま、まあ、記憶なんて曖昧だし、何かの話と混同しているんだろう。
それよりも、ちょっと目的からズレてしまったが、それでも標的が私に来ないだけマシだ。
風見には悪いけど、そういう話に巻き込まれるのは勘弁だからね。
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