第1220話 やっぱり恋バナかな? 的なお話
〜優姫視点〜
風見が英雄演舞の稽古を始めてから15日。
最初の頃は不安そうだったけど、最近は自信があるみたいで楽しそうにしている。
もうすぐ祭りということもあって気合が入ってるようにも見える。
そして、祭りに向けて気合が入っているのは風見だけではない。
この国の人達みんなが気合いに満ち溢れている。
よっぽどこの祭りのことが大事なんだね。
まあ、あの話を聞いたらそう思う気持ちも分からなくもないけど。
国のトップがこの祭りの事をとても大切に思っているんだもの。
国民も大切に思うのも当然だと思う。
「あれ? ユウキどこ行くの?」
「今日は休みなんでしょ? だから街の様子を見てこようかなって。ほら、最近街も活気付いているから。」
「そういえばそうね。でも1人で?」
「シアも一緒に行く?」
「んー、そうね。一緒に行こうかしら。」
「3人は?」
「私は、この絵を、完成させたい、から、部屋にいる。」
「ルナを1人にするのも忍びないしな。私は部屋に残るよ。コハルは……いつものであろう?」
「あはは……はい。体重、頑張って減らします。」
コハルさん、最近は仕事もなく高級な宿で美味しい物三昧な日々で太ったらしいからね。
大名家の女中の仕事がどれだけの重労働なのかは分からないけど、その仕事がなくなり食っちゃ寝ばかりしてたらそりゃ太る。
風見も稽古ばかりでお世話することもなかったし。
「じゃあ、シアと2人で行ってくるわね。」
シアと2人で適当に街の中を歩く。
右を見れば特別特価の文字が。
左を見れば英雄人形の文字が。
というかあの人形……風見に似てない?
え、早っ!
流石商売人……商機は逃さないという事ね。
「そういえばユウキと2人っきりで出掛けるのって初めてじゃない?」
「言われてみればそうかも。みんななんだかんだ仲良いものね。部外者からしたら仲に入りづらいのなんのって。」
「そんな雰囲気出してないから。」
「でも共通点がある間柄の中にそうじゃない人間が入るのはハードル高いわよ。」
「ハードルって……確か障害物の事よね?」
「そうね。えっと、こういう時は容易じゃないって感じかな。なんていうか、期待値とか抵抗感とかそういうのが高い時に使うんだけど……この説明で分かる?」
「なんとなくは。でも確かに、私の両親、100年近く夫婦やってるのに未だに仲睦まじかったから子供の時はそういう雰囲気出してる中に入るのはハードル高かったわね。」
「早速使ったわね。」
「まあね。」
「そんな事より、どこ行く?」
「そうね……折角珍しく2人きりなんだしもっと色々と話したいからどっか落ち着ける所とか行きたいわね。」
「私もこの国の喫茶店とか行きたいし、そういう店を探しましょ。」
「そうね。」
こういう雰囲気の国だと、喫茶店というよりも茶屋ってイメージだけど、世界が違うからそうとは限らない。
まあ、結局イメージ通りのお茶屋さんだったけど。
団子売っててその幟まであるイメージ通りっぷりに逆に感心したほどよ。
「で、何話す?」
「逆に聞くけど、ユウキは私に何か聞きたいこととかある?」
「聞きたいことか……ちょっと待ってて。今考えるから。」
「そう。でも、何にでも答えるとは限らないからね。」
聞きたいことか〜。
エルフの里がどんな所なのか、まずはそれを聞きたいわね。
後はご両親のこと。
100年近く夫婦やってるって人間からしたら凄いことだし、その辺のこと色々聞いてみたい。
他には家族の事。
アデラードさんが親戚だってのは知ってるけど、どうしてドワーフの血が混ざってるのかその理由とかも知りたいわね。
イメージ的なドワーフとエルフって仲が悪い印象だからその辺のことやっぱり気になるわよね。
でもまずは、やっぱり恋バナかな?
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