第1208話 黒髪黒目の人も意外と居るもんなんだな。的なお話
お昼を食べ終わった後は紅白巫女の所をお暇することになった。
俺達とずっと一緒というわけにもいかないんだろう。
一応こんなんでもヤマトのトップだし仕事が色々とあるはずだろうし、今は封竜祭が近いということもあって忙しいはずだ。
「ではまた明日な!」
「はい。……ん? 明日?」
「また昼に行くからの。」
「またですか!? それって大丈夫なんですか!?」
「妾が神だからといって霞だけ食っておるわけじゃないわ。食事する時間くらい取れるに決まっとろう。」
「いや、会食とかそういうのもあるんじゃ……。」
「全部断った! お主と一緒の方が気が楽だしな。それにそういうのが必要な時は夕食に全部回したからなんの心配もないぞ。」
「いや、心配なんですけど……。」
それ本当に大丈夫なの?
「レントが気にすることではないわ。」
「あの、ヒミコ様……そろそろ……。」
「うむ。ではな。妾はこれから仕事じゃ。」
城を出て振り返る。
俺、ここに居たんだよな。
城の中に入った理由が紅白巫女っていうのがなんか微妙な気分にさせるが、それでも城の中に入った事に変わりはない。
主の居る城に入れるとは、人生何があるか分からないもんだなと思うのは何度目だろうな?
でも思っちゃう。
日本の城はもう国とか県とか市とかその辺が管理してるだろうし。
田舎の方にあるお城みたいな建物もあるけどあれは別。
そもそも当時は年齢的に入るのは良くないだろうしな。
「この後どうする?」
「僕はなんか疲れたからもう宿に帰るよ。」
「私も。」
「私も帰りますね。」
「そうね……まさか国のトップと食事を一緒にするとは思わなかったから、胃が……。そもそも何食べてたっけ?」
「私も、全然、味がわからな、かった。」
そんな感じで、みんな予想外の展開に精神的に疲れたようで宿に帰ってしまい残ったのは俺だけ。
うーむ。
何しよう?
みんなと一緒に俺も帰った方がいいのかな?
でも何もしないというのもなんか勿体無い気がするなぁ。
どうしよう?
……よし!
帰ろう。
勿体ない気もするけど1人だけでっていうのもどうかと思うし今はこれがしたいっていうのもない。
欲しいものも特に思い浮かばないしな。
だったら少しでもみんなと一緒に過ごした方がいいだろう。
そうと決まれば早速みんなと合流を……
「あの、すみません。ちょっといいですか?」
「はい? 何か御用ですか?」
「その、道を教えて欲しいんですけど、今って時間に余裕ありますか?」
「ええ、大丈夫ですよ。」
「ここに行きたいんですけど、場所って分かりますか?」
「えーと……ああ、この店ならここを真っ直ぐに行くと2番目の十字路を左に曲がって、そこからしばらく進んだ先の右手側にあるはずですよ。」
「本当ですか? ありがとうございます。この街に来たのは初めてだったので場所が分からなくて……。」
「自分もまだ来てあまり日が経ってないんですけど、知ってる店で良かったです。」
「本当にありがとうございました。あ、私は
いやー、知ってる店で良かったよ。
道尋ね人さんが行きたがってた店っていうのも、前に道に迷った時に俺もアザミに連れて行ってもらった店だったからね。
教えられた店なわけだし忘れるはずもない。
アザミには感謝だな。
と、急いでみんなと合流して折角の時間を満喫しないとな。
それにしても、女の人とは言え黒髪黒目の人も意外と居るもんなんだな。
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