第1192話 まだ残っているようだしな。的なお話
「それで結局下見って何をするのよ?」
「明日は1日中思いっきり羽を伸ばそうと思ってるから、その時に回る場所に今のうちに決めておきたいってなったんだよ。目的を決めずに適当に街を歩くのも楽しいけど、目的を決めて歩くのもまた楽しいだろ?」
「それはまあそうかも。」
「だから何か面白い店とか、気になる店とかを今こうして場所とかを確認してるってわけ。後は劇場とかそういうのがあれば今日の内にチケットを取っておけるしな。」
「なるほどねー。」
何も言わないのもどうかと思うからともう一部屋のグループの所に下見に行くと言ったところ、蒼井がついてきた。
他のみんなは今日はもうやりたいこと決めてるからといって断られたが、明日は一緒に行動すると言っていたし、今日はしっかりと下見して、明日は思いっきり楽しんでもらおうかね。
どこかでサプライズ系の何かがあっても面白いかも。
こういうのって案外、準備してる時間が1番楽しかったりするんだよね。
文化祭然り、修学旅行然り、デートプラン然り。
そんなわけでヒノモトを探索していくが、この辺は前に来たことあるな。
やはり別の場所を見て回るべきだが、全部を見たことがあるわけじゃないから意外と面白いものとかがあるかもしれないし、どうしようかな。
あ、そうだ。
劇場!
この辺を探すというのもいいし、別の場所を見て回るのもいいけど、まずは劇場とかそういうのがあるのかを先に確認しときたい。
もしもあるのなら先に行かないとチケットがない可能性もあるから。
「まずは劇場とかそういう施設を探そうと思う。」
「劇場からなの?」
「こっちの劇団がどの程度人気なのか分からないからな。凄い人気だったりすると今から行ってもチケットが買えないなんてこともあるかもだし、なら出来るだけ早めの方がいいだろ?」
「そっか。それもそうだね。でも場所とか分かってるの?」
「分からん! だから探すんだよ。」
「人に聞くのはあり?」
「あり。大事なのは明日だからな。」
「それじゃあ……あの人に聞いてみようよ。」
「あの人か……商売柄詳しそうだな。」
セフィアが示した人はど定番屋台である串焼きを売っているおっちゃん。
定番だね。
それにこういう所の人達って無駄に情報通だけど、それ目的の人達にも買ってもらうために調べてたりするのかな。
もしそうならそれはちょっと面白い。
「教えてもらったよー。こっちだって。」
先導するセフィアに着いていく。
どうやら劇場は役所の近くにあるみたいでどんどん街の中心に近づいていく。
「なんかね、ヤマトには劇場が2種類あって基本的なのと、ヤマト独自のがあって、よそから来た人はヤマト独自のを見ると大体驚くって言ってたよ。今から行くのはその独自の方なんだよ。」
「ヤマト独自、ねぇ。やっぱり歌舞伎みたいのかな?」
「歌舞伎?」
「日本の伝統芸能だよ。俺は見た事ないけど、最近だとその歌舞伎役者も結構有名になったりして人気があるらしいよ。後は海外の人向けのサービスとかもしてるとか。」
「へー。あ、あそこだね。」
「あれかー。」
セフィアが指さした先には大きな建物がある。
そしてポスターのようなものが貼られていて、劇団『紅一座』の長期公演、大人気役者ボタン主演、ヤマト伝統の『鬼姫』とか書いてある。
鬼姫、ねぇ。
鬼姫っていうと昔やってた少年漫画のヒロインを思い出すな。
クソまずいキャンディーを好んでいる関西弁の子。
流石にあれとは関係ないよね?
……でもこの世界だしなぁ。
前にグラキアリスで見た劇はダ◯の大冒険だったし、国が違うどころか海を越えた先とはいえ、ユキノは某忍者漫画のパロディー的な作品の影響を受けてるし無いとは言えないのが怖い。
だが、だからこそ気になるというか……。
んー、良し、買おう。
気になるなら実際に見てみればいい。
どうやらチケットはまだ残っているようだしな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます