第1152話 ひとまずはベンチに座ろうかね。的なお話
稽古3日目の朝。
昨日帰った時点ですでにユキノ達が快復していてもうだるさも無くなっていると言っていた。
なので、残りはコハルさんだけなわけだけど体調はどうなっているのかな?
隣の部屋に移動して様子を確認しに行った所……。
「おはようございます。お手数お掛けして申し訳ありませんでした。ですが、そのお陰もあり無事に快復しました。本当にありがとうございました。」
どうやら無事に良くなったようで何よりだ。
もう少しかかるかもとは思ったけど存外回復力があるようだね。
ひょっとしたら俺達みたいに体がだるいなんて事まだあるかもしれないけど、本人がそう言うのだから突っついたところで意味はないだろう。
というか、俺自身今日も今日とて稽古なので知ったところで何にも出来ないっていうのが現状なんだけど……。
「ご迷惑をお掛けした分も、今後は誠心誠意この身を使ってごほ……いえ、なんでもありません……。えっと……あ! ヤマトにいる間お仕えさせてもらいますね!」
なんだろう……?
途中で言葉を変えたけど、ご奉仕って言おうとした?
後ろがなんか怖い気がするけど、きっと気のせい気のせい。
俺の後ろにはかわいい嫁さん達がいるだけで怖いことなんて何もあるはずないない。
「お仕えっていうのとはちょっと違うけど、まだ俺は三次試験があるし、試験結果によってはまだまだ時間がかかると思うから、暇な時でいいから希望者にヤマト料理を教えてくれないかな?」
コハルさんはなんか無駄に料理が上手で特にヤマト料理が秀逸だからね。
教えてもらえればリステルに戻ったとしてもまた美味しいヤマト料理にありつける。
「分かりました。」
「あ、でも今日は無しね。まだ病み上がりなんだから今日1日はゆっくりしていてね。」
コハルさんはまだ治ったばかり。
無理はさせるべきじゃないし、みんなだって治ったばかりだったり看病し続けてたりで疲れてるだろう。
今日はのんびりしてもらうに限る。
その後朝食を終えて稽古に向かう。
今日もルリエから愛妻弁当を貰った。
看病で忙しかっただろうに早起きしてくれて……本当に、嬉しいねぇ。
昨日のも美味しかったし今日のも期待大。
お昼が楽しみだ。
「今日はまず昨日のおさらいをしてもらう。午前中はおさらいをするので、午後までにしっかりと覚えられるように頑張ってくれ。では、始め!」
おさらいか。
昨日習ったのは結構な量だったし、全部を覚えきっているとは思えないし正直ありがたいな。
さて、まずは下段に構えての斬り上げからだったな。
一通り通してやってみたが、どうやら色々と違うところがあるようで指導役の人にいくつも指摘されてしまった。
歩く歩数や攻撃に移るタイミング防御の時の姿勢などなど、まさか武器を振る時の角度にまで指摘されるとは思っていなかったけど。
しかし、それでか。
それで、今日は昨日と比べて指導役の人が増えているわけか。
個別で指導するために人を揃えたって事か。
他の人達も結構間違えて覚えていたり、そもそもちゃんと動けていなかったりするみたいでそこかしこから指摘する声が聞こえてくるし。
完璧に覚えてなかったのは悔しいけど、この時間を有効活用しないとな。
まずは最初に指摘された武器を構える角度から修正していこう。
◇
ひたすらに修正作業を行なっていき、2時間を過ぎる頃には太鼓判をもらえる程度にはなった。
とはいえ、それは今だけの話で明日になればまた微妙に変わってるなんてことになりかねないし、お昼まではきっちりと繰り返し練習して体に刷り込ませ、そしてお昼時間となった。
今日は昨日と違って晴れてるので、庭のベンチで食べるわけなんだけど……既に紅白巫女がスタンバってた。
また集りに来た事に驚くべきか、それとも先回りされた事に驚くべきか……。
ひとまずはベンチに座ろうかね。
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