第1120話 試験結果とか聞きたいだろうし。的なお話
うーん……二次試験がなんかあっさりと終わってしまったから、時間が余ってしまったな。
誰だってたったの一撃で決まるなんて思わないだろ。
英雄役っていうからもっと……えっと、なんて言うんだろ?
なんかこう……シビア? 違うような……とにかくこう、試験官さんも強くてギリギリな感じになるんじゃないかって思ってたんだけど、かなり拍子抜けだった。
「だいぶ時間余ったけど、どうしようか?」
「普通に宿に帰れば良いのではないか?」
「それはそうなんだけど、あっさり終わったから拍子抜けして、なんか勿体ないって気分なんだよね。」
「それは時間が勿体ないって事か?」
「なんだろうな。ただそんな風に感じちゃってるんだよ。」
「まあ、気持ちは分からないでもないが……ならば適当に街中を見て回ればよいのでは?」
「うーん……まあ、そうするか。セフィア達に何かお土産も買いたいし。」
とはいえ、俺に京の土地勘なんてあるわけもないのでユキノに頼らせてもらう。
ちょっと情けない気がしないでもないけど、気にしない事にしておく。
「お土産になりそうな物が売ってる店に心当たりってあったりする?」
「そうだな……服や装飾品といった物は自分で見たいと思うだろうし、ヤマトならではの食べ物系が良さそうか……となると、こっちの方だな。」
「案内任せた。」
「任せろ。」
ユキノの言うこっちの方に向かう途中にどこにでもある串焼き屋さんから肉串を購入して食べ歩く。
宿の料理はどれも美味しいし不満なんてないんだけど、こういうのもこれはこれで好きだったりする。
学校帰りにコンビニで買い食いしたのを思い出すな。
フ◯ミチキやエ◯チキなんかを買っていたっけ。
「この辺は京でも庶民向けの店が多いんだ。屋台も多いから簡単なお土産には向いているだろう。」
「おお、店の種類がすごいな!」
「ふふん。凄いだろう? この京は世界でも有数の品揃えだと自負している。昔から勇者や旅人が来訪する事が多かったからな、そういう人達に向けた商売を行い、その結果観光産業やこうした品揃えの豊富さに繋がったんだ。」
「随分と自慢げじゃないか。」
「まあ、ヤマトの自慢だからな。それよりも、早く見て回ろう。」
「そうだな。」
ユキノと2人で適当な屋台を覗いてみたり、店舗持ちの店に足を踏み入れてみたりしながら良さげな物がないか見ていく。
この辺に来るのもユキノ頼りだったし道とか覚えられなかったから離れると迷子になりそう。
屋台が多いから似た景観なんだよね。
だから迷子にならないように注意しないと。
覗いた屋台も食べ物系だけではなく、遊戯系の所もあったりする。
たくさんの紐があって、それを引っ張る事で当たりかどうか分かるっていう日本にもある屋台なんかもあった。
でも昔からこの手の奴は信用してないんだよね。
この手の屋台って、なんかグレーゾーンっていうか、真っ当じゃないのとかも混ざってるイメージがあるから、やった事ないが、今はお金にも余裕があるしちょっとくらい……やっぱやめとこ。
商品とかよく分からないのが多いし。
何あれ?
宇宙を征く戦艦っぽいのにエヴ◯とガ◯ダムが合わさったようなロボットみたいなのの上半身がくっついているんだけど……どこをどうしたらそうなったんだ?
そんな感じで時に寄り道しながらお土産を探していると懐かしいものを発見。
綿菓子だ。
……これにしよう。
懐かしさを感じたら無性に欲しくなってしまった。
きっとセフィア達も驚くだろうし、蒼井とアカネも懐かしむだろう。
「おじさん、袋に入ったの6つ下さい。」
「あいよ!」
2人で1つで5個に念の為に追加でもう1つ、合わせての6つだ。
さて、お土産も買えたし、そろそろ帰ろうかな。
「ねぇ、見てよあれ、すごい美男美女カップルね……。」
「ねー。それに男の方はあれ、黒髪黒目じゃない? 羨ましいよね?」
「ね? 私もあんな彼氏欲しいなー。」
なんか、通行人に注目されてる。
2人っきりだからそういう風に見えたりするんだな。
というか、黒髪黒目ってそんなステータスになるものなの?
まあ、通行人の事なんかいちいち気にしてても仕方ないし、さっさと宿に帰ろうかな。
セフィア達も試験結果とか聞きたいだろうし。
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