第1111話 ルナのようなスタイルは想定外か。的なお話
本気でやってみようと思ったからといって、今から出来ることなんて何もない。
だから今日はのんびりと……あれ?
「そういえばユキノ。」
「なんだ?」
「ユキノの家……キサラギ家だっけ? そのキサラギ家の別邸とかはこのヒノモトに無いのか?」
「一応あるが、それがどうした?」
「いや、ユキノは帰らなくていいのかなって。」
「なんだ? レントは私と居たくないというのか?」
「あ、いや、そういう意味じゃなくて、ただ、家族とか知り合いとか居るんじゃないかなって、そう思っただけで……。」
「ふふ……冗談だ。」
むぅ……想定通りの反応をしてしまったからなのか、ユキノが笑ってる。
それがまたかわいいのがなんかもやっとする。
怒りにくいじゃないか。
「確かにいつ家族がこの京にやって来ないとも限らないし、ここの家の管理をしている者には世話になっているが、英雄候補勧誘員は英雄役が決まるまでの間英雄役候補の側にいるのが決まりになっているのだ。顔を出すにしても、まずは英雄役が決まらない事にはな。」
「じゃあ、俺がユキノのとこの別邸に尋ねればいいのか?」
「そうなるが、気にしなくていい。今行かなくてもいずれ出向く時間も取れるだろうしな。」
「そう言うのならそれでいいけど、家族は大事にしろよ。」
「分かっている。」
ユキノがいいと言ってるし、無理に言うべきじゃないからこの話はここでおしまい。
今日はのんびりと過ごそう。
昨日は野営だったし、これまでもなんだかんだ色々あったからな。
偶には何も考えずのんびりとするのも悪くないだろう。
というわけでまずは浴衣に着替える。
部屋割りは俺、セフィア、リリン、ルリエ、アカネ、レイダさんとシア、ルナ、ユキノ、蒼井、コハルさんの2組だから気兼ねなく着替えることが出来る。
コハルさんや蒼井、ユキノが同じ部屋だと着替えづらいし。
浴衣は自前の物もあるけど、かなり高級な宿なようで宿の部屋に浴衣も備え付けてあるので今回はそっちを着用してる。
宿に来てからこの部屋に案内されるまでの間に浴衣の用意を人数分終えているなんて流石だ。
しかもサイズに問題なし。
一度見ただけで身長からサイズを割り出したんだろうけど、本当に凄い。
「そっちは着替え終わったか?」
「あ、ちょ、ちょっと、まって。」
「気にしないで入っていいわよ。」
?
ルナが待ってと言っているのに何故かシアはいいと言って戸を開けてくる。
どっちなんだ?
そして何かあったのか?
「まってって、言ったのに……。」
部屋の中には胸元を大きく開けて下着と谷間を見せているルナがいた。
ロリ巨乳美少女なルナがそんな格好をしているもんだから、凄く魅力的というか、蠱惑的というか……この雰囲気はサキュバスの血の為せるものか?
「うぅ……恥ずかしいよ……。」
とりあえず、ここはスイートルーム的な場所とはいえ通行人がいないとは限らないので急いで部屋に入って戸を閉める。
そしてルナの格好を改めて見てみる。
なるほど、丈の長さ自体は問題なさそうだな。
となると、やはりあれが原因のようだ。
「幻覚で隠してたからそのサイズの浴衣を用意したんだろうなぁ……。」
「多分ね。」
「あれなんとか出来ないかユキノとかに聞かなかったのか?」
「聞いて、その方法を試してもらったんだけど、それでも少し谷間が見えちゃっててね。それで今は従業員に頼んでワンサイズ大きいのを持ってきてもらうように頼んだばかりよ。そろそろ持ってきてくれるんじゃないかな?」
そう言っているうちに仲居さんがもうひと回り大きい浴衣を持ってきてくれたんだけど……そうしたら今度は丈が少し長くて引き摺ってしまった。
そんなわけで結局ルナは旅館のではなく自前の浴衣を着る事にしたようだ。
旅館の浴衣って、祭りとかで着る浴衣とデザインが違うからなぁ。
そもそも、ルナのようなスタイルは想定外か。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます