第1106話 ぐっすりと眠れそうだ。的なお話
食事の準備となって輝くのがコハルさん。
セフィア達の料理に文句は何1つ存在しないしそもそも文句自体有り得ない。
あり得ないんだけど、ヤマトにいる間は出来る限り和食系を食べまくりたい。
もう当分は和食は十分だってくらいには。
なので今回もコハルさんに作ってもらってる。
一応フミカゲ様には側使いとして好きに使ってくれていいとは言われたので、料理をお願いしている。
そう言われてなければなかなかお願いできないし。
コハルさんがヤマト料理が上手いからと、セフィア達が教わりながら手伝ってる。
俺、蒼井、アカネが食べたいだろうからって言って教わってくれてる。
端的に言って嬉しい。
俺達が喜ぶからと、やってくれるのだから、本当に良く出来た嫁……いや、良く出来た人だ。
愛もあるだろう。
でも、セフィア達の人柄故にそうしてくれるのだから、そこもちゃんと評価しないとな。
俺も何かしてあげたいな。
「しかし、良く魔導コンロなんて持ってましたね。流石は英雄候補なだけありますね。」
「ああ、それはカジノで当てた。」
「か、カジノで?」
「そう。じゃなきゃいくらランクの高い冒険者でもなかなか手が出ないですよ。」
「やっぱりそうなんですか……かなり便利なんですけど、一般人にはもっと手が出ませんよ。」
「そもそも持ち歩ける人がどれだけいるかって話なんですけどね。」
「それもそうですね。」
魔導コンロはそこそこ大きいので背負って持ち運ぶことなんて出来ないし、わざわざ馬車に積むのもそれはそれで場所を取る。
仮に馬車に積んだとしてもそこそこの大きさという事はそれなりに重いし、何より料理の度に下ろして載せてを繰り返す必要があるので持ち運べるのはアイテムボックスやアイテムバッグを持っている人くらいだ。
だけど、そのアイテムボックスを持ってる人はそれほど多くは無いし、アイテムバッグも結構高価。
おまけに入る量にも限りがある。
というわけで持ち歩けるのはごく僅かというわけだ。
やっぱストレージはマジでチートスキルだわ。
すっごい地味だけど。
夕食を食べ終えたら体をお茹で拭く事になった。
雨が本降りになる前にこの小屋は出来たし、馬車の中にいた人が大半だからそこまで濡れてないだろうけど、それでも湿気はあって少しベタつく。
それにお嬢様がいるのだから何もしないわけにはいかないだろう。
お風呂じゃないのが申し訳ないけど。
体を拭いてサッパリし、後は寝るだけ。
「スズランさんとコハルさんは馬車を使って下さい。俺達は見張りをしながら交代で寝ますんで。」
「え、いいんですか? 見張りくらいなら私もやりますよ?」
「コハルさんは別に冒険者とか軍属ってわけじゃないですよね? なら慣れないことをするべきじゃないですよ。それにこれくらいいつもやってることですから。」
というか、コハルさんが夜遅くまで起きてること自体怖いですから。
こう、貞操の危機的な意味で。
「あまり無理を言うべきではないでしょう。ここはレントさん達に任せて私達はさっさと休みましょう。それに私はもう眠いわ。」
「分かりました。では皆様、後はよろしくお願いします。」
まだ少し不満気だけど、邪魔をするべきじゃないと思ったのかコハルさんはスズランさんと共に大人しく馬車の中に引っ込んでいった。
それにしても、仕事モードの時は本当に真面目な雰囲気なのに、素はなんであんなに残念なんだ……?
いつも通り3グループに分けて見張りをしながら交代で睡眠を取る。
ただ、京に近いということもあってか俺が見張りをしている間は何事もなく時間は過ぎていった。
きっと、拓けているということもあるだろうけど、定期的に軍か何かがこの辺の見回りとかをしてるんだろう。
そんなわけで交代した後はぐっすりと眠れそうだ。
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