第1107話 理解出来ていなかったようだ。的なお話
朝起きて朝食の準備をコハルさんにお願いする。
今回もセフィア達はコハルさんに教わりながら手伝っていて嬉しくなる。
その間に俺はレイダさんと一緒になって武器をしまう袋を作る。
針と糸、そして布はレイダさんの特技の事もあってそれなりには確保してある。
「今日中には京に着くから、今の内に用意しとかないとな。」
「ですがご主人様、袋なら京でも買えるのでは? それに、アイテムバッグやご主人様のストレージにしまっておけば問題ないと思うのですが……。」
「自分達で作った方が多分安上がりだからだな。それに武器をしまう袋を買うにしても、その間は武器出しっぱなしになるじゃないか。武器をしまう袋を買うために街中を武器をぶら下げて歩くのはどうかと思う。なら自分達で作った方がいいだろう?」
「それもそうですね。」
「それにだ。アイテムバッグやストレージにって言っていたけど、俺は一応英雄候補だからな。候補なら英雄役を選ぶ為の試験か何かあるはずだ。そうなるとそっちの方にかかりきりになってみんなと一緒に行動出来ないかもしれない。そんな時に何かあっても武器が無ければどうしようもないだろ? そういう事態を避ける為にもこれは必要なんだ。」
「ご主人様の気遣い、深く受け止めます。」
「気遣いなんて大層なものじゃないよ。ただ、みんなの事が大事だから出来る限りの事がしたいだけさ。それよりも、早く袋を作ろう。みんなの分も作らないといけないんだからさ。」
「そうですね。急ぎましょう。コハル様やセフィア様達ならそう時間はかからないでしょうし。」
複雑な物ならともかく、簡単な袋くらいなら俺でもなんとかなる。
一応小中の家庭科で裁縫をやったりしてたし。
「そういえば、弓とか魔法銃とかだと袋は必要なのかな?」
「え、どうなんでしょう? まあ、いるかどうか分からないですけど、作っておけば問題ないでしょう。」
「それもそうだな。」
そうして人数分の武器をしまう袋を作っていると、朝食の準備が出来たとセフィアが呼びに来た。
残念。
2人分のが間に合わなかったか。
「ごめん、セフィア。後少しだから先に食べてて。」
「後少しなら待つよ? 出発時間に変わりは無いしさ。」
「そう?」
「それよりも、後は何人分出来てないの? 手伝うよ?」
「いや、後これとレイダさんが今やってるのだから気持ちだけもらっとくよ。」
「んー、分かった。じゃあ、向こうで待ってるね。」
「おう。」
みんなも待ってるし終わらせにかかる。
それから5分と経たずに完成するが……。
「分かっちゃいたけど、やっぱり凄いな。」
「いえ、ご主人様も普段やらないのにそれだけ出来るのですから、十分凄いです。」
「向こうで少しだけやった事があったからな。」
レイダさんが作ったのが7人分。
対して俺は3人分。
実に倍の差があるのだ。
これは普通に凄い事だと思うぞ。
朝食を食べ終え、片付けも全部済ませて立つ鳥跡を濁さず状態にしてから京に向けて出発する。
昨日進んだ距離も合わせれば3時くらいには着けるか?
いやでも、昨日の雨で街道がぬかるんでて足場が悪いし、そこまで早くには着けないか。
ま、気楽に行こう。
途中で何度か休憩を挟み、お昼を食べ、そして午後2時ごろに京へとたどり着く。
いやいや、早くない?
街道結構ぬかるんでたよ?
魔物や盗賊と遭遇する事なく、平穏無事に済んだとはいえ、それでも午後2時って……。
どう考えても早すぎだろ。
やばい。
どうやら俺はウチの馬達の実力をまだ十分に理解出来ていなかったようだ。
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