第1098話 いや、本当に、なんでこうなった!? 的なお話

ん……?

なんだ?

布団が無い?


「あっ!」

「……………えーと、何してるんですか?」

「い、いえ、あの、遠慮してましたけど、やはり何かした方がいいのかな〜って……。」


多分今俺、眠気もあるだろうけど、それ以上の理由でジト目してると思う。


「本音は?」

「本当に一晩中出来るのかと、好奇心に負けました!」

「潔いですね……。というか、これまでとキャラ違くないですか?」

「お仕事モードでしたから。こっちが素です。」

「あ、それはなんとなく分かってます。」


むしろこっちが演技の方がどうかと思うし。


「では続きを…「させないよ?」……ですよねー。」

「全く……俺達は明日も移動なんですから、疲れたくないんですよ。ただでさえ今日は本当に色々あったんですから……。なので、もう帰ってくれませんか? あなたも仕事があるでしょうしこんな事で睡眠時間を削るべきじゃないですよ。」

「……しょうがないですね。そういう事にしておいて今日の所はお暇させていただきます。」

「なんで俺が悪いみたいに言うんですか……。」

「では、私はこれで。」


めちゃくちゃやってそのまま帰りやがった……。

…………寝よ。



「ふわぁ〜……眠っ……。」


昨日は色々あって精神的に疲れた所にトドメの女中さんの夜這いという……。

おかげですげー眠い。

いつもならみんなが起きる少し前に起きるのだけど、今回は珍しくみんなよりも遅く起きた。

それくらいには眠い。

今日の見張り中に寝ちゃったらどうしよう?


「朝食をお持ちしました。今から準備をしてもよろしいでしょうか?」

「お願いします。」


夜這いしてきた女中さんがテキパキと朝食の準備をしていくが、その途中であくびを噛み殺しているあたり、やっぱり眠いんだろう。

そりゃあんな時間に夜這いなんかかけて来るんだもの……。

自業自得だよ。


「ふわ……。」

「ふわぁ……。」


あくびって何故か感染するよね。


朝食を終え、京に向かう事をフミカゲ様に報告をしようとした所、またしてもフミカゲ様の土下座を目撃する事になった。

いや、なんで?


「昨晩は良かれと思って花魁と男娼を呼んだのですが、ご迷惑をおかけしたようで、本当にすみません!」


ああ、そういう事。

それにしても、本当にこの人は簡単に頭下げるよなぁ。

なんか、そういう意味でも日本っぽい。

海外はそうではないけど、日本は結構簡単に頭下げたりするよね?

まあ、悪い事をしたらすぐに謝るのはいい事だとは思うから別にいいんだけど。


「気にしてませんから。確かに必要ありませんでしたけど、一応善意で行った事ですよね?」

「もちろんです! ただ、必要かどうか、事前に聞いておけば迷惑をかけなかったのにと、反省している次第です!」

「なら、本当に大丈夫ですから、頭を上げて下さい。」

「なんと寛大な……本当に、すみませんでした。」


まあ、それも迷惑だったけど、それやりも迷惑だったのは夜這いの方だからね。

そっちの方がインパクト強くて花魁の方はそこまで迷惑とは思えなくなっているし。


「そのお詫びと言ってはなんですが、ヤマトに滞在する間はこちらのコハルを側使いとして好きに使って欲しい。」


そう言って紹介されたのは、夜這い女中さんだ。

……は? いや、あの……え?


「ご迷惑をおかけするかもしれませんが、精一杯頑張らせていただきます。どうぞ、よろしくお願いします!」

「え、でも……はい? 仕事はいいんですか?」

「問題ありません。私が抜けたとしてもその穴を埋めるだけの人員も技量も十分ありますので。」

「いや、でも、みんながなんて言うか……。」

「断られた場合は休みを貰って勝手について行きます。」

「そこまでする!?」


これ、断れないよね?

というか、断っても意味ないよねそれ。

いや、本当に、なんでこうなった!?

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