第1094話 この街にはどんな特徴があるのかな? 的なお話

なんだかんだあったがみんな無事に済んだ事だし、とりあえずお昼でも食べようかね。


「失礼します。」


ん?

なんだろ?

女中さん?

何か伝え忘れた事あったとか……例えば、大名様の名前とか。

ぶっちゃけ大名の名前どころかこの街の名前すら知らないからね、俺。


「今料理人に急いで昼食のご用意をさせていますので、もうしばらくお待ち下さい。」

「え、はい、分かりました。」


俺、今晩のって言ったよね?

お昼は適当にそこらの定食屋とかで食べるつもりだったんだけど……あれかな?

さっき言っていた出来る限りもてなすのもてなすって部分かな?

そんなつもりはなかったんだけど、一応善意なんだろうし、ここは大人しくしておこう。

なんか料理人に申し訳ないし。

急に言われて今大急ぎで作ってる事だろうし。


そうして出てきたお昼ご飯は丼と漬物、そして汁物。

だが、これはただの丼ものじゃない……これは、この匂いは!?


「「「うな丼だーーー!!!」」」


料理人探しとかしてる暇なくて京に着いてからと思っていたけど、まさかこんなところで食べられるとは思ってもいなかった。

だが、そんな事はどうでもいい。

今はこのうな丼を堪能するだけだ!


「「「いただきます!」」」


匂いの時点でうな丼だと分かっていたからか、俺、アカネ、蒼井の3人はみんなを待たずしてうな丼をかっこむ。


「美味い……。」

「これよこれ……。」

「懐かしいな……何年ぶりになるかな?」


まさに感無量……。


「またか……。まあ、気持ちは分からなくもないがな。」

「あの、3人はなんであんな……?」

「え、ああ、あの3人は昔ヤマト料理……いや、勇者料理を食べた事があったみたいでして、それがどうしても食べたかったようで、それで偶にああなります。」

「そういう事……私は国元を離れた事がないからよく分からないけど、それでも偶に無性に食べたくなる料理はあるし、それを何年も、となればそうなるも当然ですわね。」


丼3つ重なってるのに気付いてから後悔した。

3杯目はひつまぶし風にして食べれば良かったと……。

流石に3杯も食べれば十分過ぎるほどなのでもう1杯は無理。

今度うなぎを食べる事ができたら、その時はひつまぶし風にしよう。


戦闘に事情聴取に謁見とそらなりに時間を使い、今遅めのお昼も終わったわけだけど、今日はこの後どうしよう?

観光がてら街をぶらりと歩くのもありかなと思うけど、一応は護衛依頼を受けているし、護衛対象をほっぽり出して街を歩くのも良くはない。

それで勝手に街中を出歩かれてそのまま誘拐なりひったくりなりの被害を被るのはどうかと思うので、離れられない。

まあ、適当に時間でも潰しておくか。

そういえばここ最近本とか読んでいなかった気がするし、丁度いいからここらで読書タイムと行こう。


スズランさんがいるからラノベは無理だけどこっちの世界の本も、これはこれで結構面白い。

実際に魔物がいるからか、想像で描く日本のラノベと違って臨場感が凄いんだよね。

どれにしようかな〜。


「フミカゲ様より街の案内をするように仰せつかりましたが、如何致しますか?」


そう思っていたけど、なんか女中さんが街の案内をしてくれるみたい。

どうしよう?

所で、フミカゲ様って一体誰のこと?

ひょっとして大名様?


「そういう事らしいんですけど、どうしますか?」

「え、私に聞いてる?」

「もちろんです。これでも護衛依頼を受けている身ですので、こういう時はスズランさんがどうしたいかで変わりますから。」

「それじゃあ、案内をしてもらおうかしら。」

「かしこまりました。ではこちらへ。」


本を読もうと思ったんだけど、仕方ないか。

まあ、街をぶらり散歩というのもありかなって思ってたし結果オーライって事で。

案内あるしスズランさんいるしであまり自由には動けないけど、それでも楽しみだ。

さてさて、この街にはどんな特徴があるのかな?

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