第1015話 寝させてくれてもいいんじゃないかな? 的なお話
「あれ? それじゃあ、なんで依頼になってるんですか? 生息している場所も結構深い場所だから誰にも迷惑掛けないし、食用じゃないのに。それでも討伐ならまだ分かるけど、納品なのはどうしてなんですか?」
「それはカノンボルトイールは素材として非常に優れているからなんですよ。まずは皮ですが、防刃性は低いものの、衝撃耐性は高く、また水と雷属性に対する高い耐性があります。そして血。こちらは激毒ですが、まあ、それはそれで使い道がありますから。」
黒いよ……。
「それに、毒性を弱めれば下剤としても使えます。」
それならまあ……いや、それでもやっぱり黒さは変わらないよ。
毒としての利用法をしていないわけじゃないんだしさ。
「また、カノンボルトイールが分泌する分泌液2種類ともそれぞれ別の用途があります。傷口を塞ぐ効果のある方は塗るだけで雷属性への耐性を装備品に付与できますし、それだけではなくツヤだしや魔道具のコーティングに使われます。もう一方の分泌液はひたすらに滑るだけですが、そちらは花街の店で重宝されているそうです。」
ローションですね。
分かります。
とある特番でそれを使った相撲やらなんやらやってたりしてましたからね。
「最後にカノンボルトイールの肉ですが、こちらは錬金術の素材として優秀で主に滋養強壮剤や精力剤、興奮剤、増血剤などに用いられるそうです。」
「あー、そりゃ納品依頼になっても不思議じゃないですね。」
「ええ。」
きっと大人気なんだろう。
おじさま連中には。
◇
「ではまた明日お越し下さい。」
「はい。」
結局、自分で食べて試すのも怖いし、ギルドに高レベルのアイテム鑑定持ちの人が居ないし、素材として優秀なそれを安全性が分からないのに食用とするのはどうかという事でうなぎは今のところは食べないという事になった。
ちなみに、試しに俺が鑑定した場合だとこうなった。
ーカノンボルトイールー
電気を吐くウナギの魔物。ヌルヌルしてるよ。
……それくらい知っとるわ!
食用かどうかが知りたいんだよこっちは!
「うなぎなのだがな、ヤマトでは高級料亭などで出されているぞ。」
「「「本当か!?」」」
「あ、ああ……というか、またなのか。」
ユキノのセリフに反応したのは俺だけではなく、蒼井とアカネもだった。
まあ、分かるけど。
美味いもんなぁ、うなぎ。
うな丼もいいけど家族旅行で食べたひつまぶしもまた最高だったし、また食べたいものだ。
というわけで、続きのセリフを早くプリーズ!
「だから、カノンボルトイールをヤマトに持っていけば食べられるかもしれないぞ。まあ、カノンボルトイールが食用なのかどうかは分からないがな。」
「よし、今すぐヤマトに行こう!」
「だから! どうしてお前はそう考えなしに動こうとするのだ! 脳味噌が食欲と直結しているのかお前は! それに、今はヤマト行きの船を待っているだろうが!」
「す、すまん……日本では高級食材で、漁獲量に制限が掛けられてたりするからつい……。」
「そうなのか……?」
「まあ、制限といっても養殖用の稚魚であるシラスウナギの漁獲量制限なんだけどな。それ以外の成魚の制限はあるのかは分からないけど。」
日本でも毎年ニュースでやってたりしたなぁ。
今年はシラスウナギの漁獲量が少ないとか、今年は昨年の何倍とかそういうの。
それだけでしか情報は得ていないとも言うけど。
実際、なんでか成魚の方の漁獲量に関しては見た覚えは無い。
覚えていないだけかもしれないけど、それでも情報が少ない気がする。
「どのみち、今はどうする事も出来ないってことか。」
「そうだな。」
仕方ないのでそのまま宿に帰還した。
嫁達はウナギの肉を食べたわけでもなければウナギ素材の興奮剤を使ったわけじゃないのに、随分と精力的でした。
俺朝早くでスッゲー眠いんですけど。
少しくらい早めに寝させてくれてもいいんじゃないかな?
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