第1006話 俺もいくつか対処法浮かんでるしね。的なお話

「それで戦果は?」

「え、ああ、たくさん買えたぞ。なんか運良く海狩人とと知り合えてな、その人のおかげで普通に買うよりも安く買えたんだ。これ、黒金マグロって言うんだけどさ、これだけで本来なら50万は行くらしいんだけど、その人が自分で狩った物だからって、30万で売ってくれたんだ。」

「黒金マグロだと!?」

「うわっ!? びっくりしたぁ。ユキノちゃんはくろがねまぐろ? っていうのが何か知ってるの?」

「知ってるも何も、最高級マグロだぞ!? クロマグロが魔物化しその美味さが格段に上がり、尚且つ魔物化の影響によってその遊泳速度は100キロを超え、風魔法も駆使して空を飛んで襲ってくる凶悪な魔物としてヤマトでもその価値は凄まじいものとなっているマグロだぞ!」


飛んで……?

それって本当にマグロなの?

というか、そんなのを狩っているとか、ローレムさん凄すぎない?


「よく分からないけど、とにかく凄い魔物って事だよね?」

「まあ、間違ってはいないが……重要なのはすごく美味いという事だ。焼いても煮ても美味いが、1番はやはり刺身だろう。」

「ああ、海鮮丼にして食ったけど、ヤバかった。食い終わるまで誰も喋らなかったくらいだからな。」

「ぬぅ……こんな事なら私も同行しておけば良かった……。」

「他には?」

「ああ、他だと鯛、ブリ、ヒラメっぽいの、アジっぽいのとか色々買えたぞ。まあ、その分かなり散財したけど……あはは。」

「あ、そうなんだ……。」

「あ、ごめん! そういえば全部払わせてたわね。ちょっと待って私も一部払うから……って、どうしたのよ? そんな鳩がデリンジャー食らったみたいな顔して。」

「いやどんな顔だよ。じゃなくて、蒼井がお金払わずに済んだ、ラッキーっていうんじゃなくて払うって言うのに驚いて……。」

「私をなんだと思ってるのよ……。それくらい払うわよ。」


今回の鮮魚類やこの間の米とかはあくまでも個人的な趣味というか、好みで勝手に買っただけなのでパーティ用の資金ではなく個人資産から出している。

みんなが食べるというのであればパーティ用の方から出せるんだけど、俺が勝手に買ってるだけだからな。

蒼井だけでなくアカネも代金の一部を払ってくれたとはいえ、ここ最近の散財が酷いので結構懐が不安になってきた。


「えと、まあ、そういうわけで散財しているんで船に乗るまでの間依頼を受けようかと思ってます。」

「そういう事なら僕も一緒に受けようかな。最近魔物との戦闘も少ないから、このままだと鈍っちゃいそうだしね。」

「ん。私も行く。」

「お兄さんが行くなら私も是非。」

「腕が鳴りますね。」


俺至上主義の3人と戦闘狂……じゃなくてレイダさんが即座に反応し、他のみんなも鈍るというセフィアの一言に反応し、一緒に依頼を受けることになった。


早起きをして時間的にも丁度いいしこのままギルドまで向かおうと思う。

思うが、ギルドってどこにあるんだろ?

ま、ユキノが知ってるだろ。


というわけでユキノの先導の元ギルドへと行き、依頼を受ける。

受ける依頼は折角他所の国に来たわけだからどうせならグラキアリスにはない物がいいということになり、そうして選ばれたのが、カノンボルトイールという水陸両用の電気鰻だ。

こいつはBランクの魔物でセフィア達が調べた魔物の内の一体だとか。

自前の粘液と水魔法で体が乾くのを防ぎ、水中はもちろん、陸地も俊敏に動き、体内の発電器官で発生させた高圧電流を口から放出するらしい。

鎧や武器が金属な為に危険度が高い。

しかし事前に調べてあるので対抗策はある程度知ってるというのが決め手となった。

俺もいくつか対処法浮かんでるしね。

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