第1004話 美味いもんは2日続けても美味いよな? 的なお話
「あの、さっき何でもするって言っちゃったけど、その……」
「ん? なんだ? 今更撤回とかいうのは無しだからな。」
「えっちなのは勘弁してください。」
「アンタは一体私を何だと思ってんだよ!」
「俺、嫁が居るので流石にそういうのは……。」
「知らないよ! そんな事するわけないだろ!?」
「そ、そうですよね……。」
ネタとして、何でもするというのはつまりそういう事っていうイメージがついているせいで変なことを言ってしまった。
いやでも、一応俺も男なんで、そういう思考に至ってしまうこともあるわけでして。
ひょっとしたら今夜の事を考えると今から疲弊する事になるのは良くないと無意識に考えてしまっていたのかもしれないな。
「ったく……私はただ、教える代わりに私の分の朝食代を払ってもらおうと思っただけだよ。」
「あ、そういう事なら。」
すごく恥ずかしいです。
そんで気まずい。
なので話を逸らす為にさっさと朝食についての話を詰めて行こう。
そうしよう。
「朝食代って事ですけど、どこかに食べに行くんですか?」
「いや、普通に家で食うつもりだけど。」
「となると……どうすっかなぁ。」
「ウチで食えばいいだろ? そっちの方が教えやすいし。」
「他にも仲間が居るんですよ。だから俺達だけ別で食べるのもどうかなって。」
「でも、食べたいんだろ? マグロ。」
「それはもちろん!!」
「なら食えばいいじゃねぇか。アイテムボックスだって時間が止まるわけじゃねーんだし、早めに食うに越した事ないだろ?」
「まあ、そうですね。」
俺のはストレージで時間停止機能がある……なんて迂闊に言うつもりはない。
それに蒼井が氷魔法が使えるから普通よりもかなり長く保存出来るという事も言う必要はないだろう。
知られたら面倒な事になりそうだし。
「よし、ならこっちだな。」
台所に案内してくれるようだ。
解体場から台所に向かいながら朝食についての話をさらに詰めていく。
「で、何を作るんですか?」
「そりゃ海鮮丼に決まってるだろ。それなら米も使えるしな。」
「つまりその米と海鮮類の費用を払えばいいということですか?」
「そうだな。魚は漁のついでにいくつか獲ったからそれを使うんで、その代金をよろしく。」
「あー、はいはい。要は買ってくれって事ですね。」
「そうだな。」
そういう事らしい。
まあ、いいけど。
台所に着いたので早速朝食の準備。
幸い米も昨日のうちに買うことが出来たのでそれを使う。
そしてその炊き方だが……。
「米を炊くのにはこいつを使う。」
「そ、それは…「「土鍋!」」」
「こいつも知ってるのか。さっきも思ったけど、変な知識ばかり持ってんのな。で、こいつの使い方は分かってるのか?」
「知りません。」
「なんでそれは知らないんだよ……。」
知らない人から見たらそういう印象になるよね。
でも知ってるのと使えるのは別物なんで。
「まずは米は研ぐ必要がある。研ぐっていうのはこうして水に浸けながらかき混ぜたりする事だ。水はこまめに変えること。こうする事で表面の汚れとか米糠とかを落とすんだよ。で、それが終わったら一定時間水に浸しておく。時間は30分から1時間で、気温によって変えていく。その間に乗せる刺身の準備と味噌汁を作っていくぞ。」
手際良く味噌汁を作っていき、刺身を用意していく。
この手際は普段からやっていると伺えるもので、職業柄出来なくてもおかしくない気がするけど、すごいね。
「で、時間になったら水気を切った米を土鍋に移して、そこに水を入れて火にかける。沸騰するまでは中火で、沸騰してから中の水分がなくなるまで弱火にする。水分が無くなったら火から降ろして10分ほど蒸らして完成だな。寿司や海鮮丼を作る時は砂糖と酢を混ぜた物にした方がいいからそれを作るぞ。で、ご飯をよそい、刺身、刻み海苔を乗せて、と。これで海鮮丼の出来上がり。」
すごく美味しそうだ。
美味しそうだが、ふと気づく。
俺達そういえば昨日のお昼も海鮮丼だったと。
ま、まあ、美味いもんは2日続けても美味いよな?
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