番外編 雛祭りif 未来ver
節分、バレンタインという2つのイベントが終わったばかりだが、この世界でもまたすぐ次のイベントが待ち構えている。
そう考えてみると本当に日本人はイベント好きだよなぁ。
そのイベント、雛祭りだけどこの世界では基本的に流し雛オンリー。
しかも流し雛と言っても本来の物ではなく完全なネタ枠になっていて、魔物の雛を育てて小舟に乗せてレースをするというもの。
流し雛どころか雛祭りの面影もないが、一応これがこの世界での雛祭り。
後、やっぱりこれだけじゃどうかと思うので普通の雛祭りも一応ウチではやっている。
まあ、男の子からは普通の雛祭りが不評だけど。
気持ちは分からなくもない。
なんせ雛祭りは女の子の祭りだからな。
5月の端午の節句はやってないから尚のことね。
その代わりに流し雛には本気になってる。
めっちゃ芸とか仕込んでいる。
「今年もお前の孫達には世話になるな。」
「あれはあれでいい勉強になるから気にしないでいいよ。」
「そうか。それよりも、お前の新しい子供の予定とかはあるのか?」
「まだ無いね〜。そもそも、種族がどうなるかも分からないから……。」
「それもそうか。
「そんな感じ。産むにしても人里離れた所で慎重に行きたいかな。」
ピュリオスも大変だね〜。
でも代わりに孫沢山なんだけど。
太陽神鳥に進化する前に生まれた子達とピリオム、ピリオット、ピューナはまだダイナバードとイグナイトホークだから普通に産んでる。
今回はその子達が流し雛に出場するのだ。
「で、話を変えるんだけどさ。」
「変わるんじゃなくて変えるんだ……。」
「ウチって毎年日本の雛祭りもやるだろ?」
「やるね。」
「それでさ、今回は雛人形を飾るだけじゃなくてさ、子供達も雛人形のように飾ろうかなって思ってるんだよ。」
「へー、面白そうだね。でもそれをどうして僕に? いつもならセフィア母さんとかに話してるじゃない。」
「もちろん後でセフィア達にも伝えるけどさ、今回の雛祭りだけど俺はそっちの方の準備に専念したいなって思うんだよ。だからその間子供達のことはピュリオスに頼みたいなって思ったんだ。どうかな? やってくれる?」
「別にいいよ。弟達の面倒はいつも見てるしね。」
「いつも悪いな。」
「気にしないで。」
ピュリオスに任せておけば安心だな。
後はセフィア達にも伝えて、準備に取りかからないとな。
「レント、ちょっとお願いがあるんだけど、いいかな?」
「どうしたのアデル?」
「今度流し雛があるでしょ? そこでレントにも警備のお願いをしたいんだけど、駄目かな?」
「え、うーん……実はさ、ちょっと今度の雛祭りで考えてることがあるんだけどな……。」
「うんうん。」
アデルにさっきピュリオスにも話したことを伝えると面白そうと興味を示した。
まあ、アデルなら乗ってくるよね。
「それじゃちょっと厳しいかな……。」
「いや、引き受けるのは構わないんだけど。」
「いいの?」
「その代わりに、流し雛の警備の方の準備は出来る限りギルドの方で進めてほしいんだ。当日はちゃんとやるけど、それまでは雛祭りの方に時間を割きたいんだよ。あ、それとアデル達にも手伝ってもらうから。」
「手伝うのは構わないし、それくらいならいいよ。やる事だってこれまでに何度もやったからそこまでこっちにかかりっきりになる必要は無いし。それに、隠れ蓑には丁度いいだろうしね。」
「バレてたか。」
「そりゃレントの奥さんだからね。」
引き受けたのにはそういう理由があったりもする。
やっぱりこういうのはサプライズの方が楽しいからね。
それを隠すのに丁度いいからっていう理由もあって引き受けたわけだ。
それが無くても引き受けたけど。
「それじゃ私はギルドに戻るね。帰りは定時には変えると思うから。」
「分かった。」
さて、と。
忙しくなるぞー。
早速行動を開始してまずはセフィア達の元へ向かうとしますか。
◇
あれから準備を重ねて今日は雛祭り当日。
今は子供達が流し雛を行っている最中かな。
「警備お疲れ様、レント。はいこれ、差し入れ。」
「サンキュ。それで、そっちの方の手筈はどう?」
「うん。バッチリだよ。レイダさんが張り切ってたからかなり良い物になったと自負してるよ。」
「そっか。それなら安心だな。こっちも小物類は完璧に仕上げた。アイリスが手伝ってくれたし、何よりアリシアが日本から資料を沢山持ってきてくれたからね。失敗しようがないよ。」
「じゃあ後は料理だけだね。」
「ああ、それも任せた。」
「任された。」
ピッと敬礼をするセフィア。
うん、かわいい。
相変わらずめちゃくちゃかわいい。
「僕は料理のほうに戻るけど、レントは子供達をよろしくね。それと、子供達拗ねちゃうからちゃんと見てあげてよ。」
「分かってる。今から行くつもり。」
「なら良し。」
警備の仕事もあるけど、それくらいの時間はある。
というわけで子供達の勇姿? を見届けた。
みんな一生懸命頑張っていた事もあって好成績で良かった。
後、司会の人に風見家伝統の愛嬌芸がかわいいと言っていた。
いつの間にか伝統になってて笑える。
残りの仕事も終えて子供達と一緒に家に帰るとセフィア達がお出迎え。
子供達を連れて行き着替えさせる。
俺はその間に作っておいた小道具の準備。
そうしていると華やかな衣装を着込んだ子供達が現れる。
「パパ、どう?」
「うん。みんなかわいいぞ。お姫様そのものだな。」
「えへへ……。」
「後は、これを持って席に着いてくれ。」
「うん!」
俺から扇子や楽器なんかを受け取ると席に向かう子供達。
そんな俺のそばに寄ってくるピュリオス。
「大成功だね。」
「ああ、ピュリオスが頑張ってくれたおかげだよ。」
「僕は大した事してないよ。父さんが頑張ったからだって。」
「パパとお兄ちゃんもこっち来てよ。」
「分かった。今行く。」
ピュリオスと成功を祝い軽く拳をぶつけた後、俺達を呼ぶ子供達の元へと向かった。
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