第947話 別の店にしません? 的なお話

さて、次は何をしようかなと、辺りを見渡してみると、なんか、大道芸人とかが帰り支度してる。

そんで時計を確認してみれば納得。

もうすぐ5時になる。

太陽を見てみれば結構傾いていてあと1時間かそこらで暮れるだろうし。


となると、どうしたものか。

露店も店じまいしていくだろうし、やはりここは無難にこのまま帰るとかか?


「それじゃレント。約束通り奢ってね。」

「いや、それはいいんですけど……どこも店じまい始める頃ですよ?」

「え、あれ!? いつの間に!?」

「いつの間にも何も、型抜きをしている間にに決まってるじゃないですか。」


集中してて気付かなかったけど、結構時間かかってたみたいなんだよね。

しかもその後みんなもやっていたわけだから当然かかる時間は2倍。

そりゃこんな時間にもなるさ。


「うーん、それじゃあ、晩ご飯にしようか。お勧めのお店あるからそこにしよう。」

「お勧めですか?」

「うん。ちょっと高い所だからみんなの分は私が払うよ。」

「え、いいんですか!?」

「ありがとうございます!」

「ご馳走になるっす!」

「あ、私の分はレントが払ってね。」

「なんで!?」

「だってそういう約束だし。」

「ぬがっ……いやでも、そこ出店じゃないですよね?」

「でももうやってる店なんてあんまり無いよ? 食べ物系ならまだあるけど、もうすぐ晩ご飯の時間なのに食べさせる気?」

「うっ……。」

「それに、劇場で串焼きとホットドッグ、さっき叩き売りで黒桃を食べたのにまだ食べさせるつもりなの?」

「うぅ……わ、分かりました。払います。払わせていただきます!」

「それじゃよろしくね。」


とほほ……。

軽々しく賭けなんて持ちかけるんじゃなかったよ。

ま、まあ、ちょっと高いとは言っても5000くらいだろうし、大丈夫大丈夫。

それに懐はまだまだ余裕があるし……。


「あ、そうそう。そこはドレスコードが一応設定されているから一旦ウチで着替えてから向かうから。」


あ……。

1万くらいは覚悟しておこう……。


「え、私そんな服持ってないっすよ!?」

「その辺は抜かりないよ。みんなの分の服も用意済みだから……メイド達が。」

「え、メイドさんっすか?」

「いずれドレスを着る機会があるかもしれないのでって、言って用意してたからね。」


いずれって、一体どんな機会を想定していたんだか……。

まあ、実際に着る機会があったからその想定は当たっていたわけだけどさ。


というわけで一旦エリュシオン邸に帰還してお着替えタイム。

アデルはその際に夕食はいらない事をメイドさん達に言っておくらしい。

そういえば、この服サイズピッタリだな。

俺は前に測ったからいいとして、みんなのサイズはどうなんだろう?

そっちもピッタリなのか気になる。

もしもピッタリならサイズを知った方法も気になる。


ドレスアップ&メイクアップしたみんなと合流する。

合流するが……何ここ?

ひょっとしてここが天国ですか?


「ボーッとしてどうしたの?」

「いや……ここが天国なのかと思って……みんなかわいすぎ……。」

「え、あ、ありがとう……レントも、かっこいいよ。」

「あ、うん。」


この光景をもっと眺めていたい。

眺めていたいが、あんまり長くいると理性が危ないし夕食の時間も危ない。

アデルお勧めのお店というわけだしきっと人気店なんだろう。

そんな所に出遅れればどれだけ待たされるか分からないからな。


そんなわけで訪れたアデルお勧めのお店だけど、ひょっとしてリステルで1番高いお店だったりしません?

なんか、景観からして既にお高いオーラ放ってるんですけど。

今から探してもいいから別の店にしません?

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