第937話 やっぱ、ガチャって怖いな……。的なお話
闘技場を後にし、他のゲームで遊ぶ。
まあ、バカラとかやっててもルール自体知らないから出来ないんだけどね。
ブラックジャックは辛うじてって所。
他にはサイコロを使ったものもあるけど、やっぱりルールが分からない。
丁半の奴は、籠の中に入れたサイコロの数字が揃ってるかどうかだっけ?
ピンゾロって、何?
なんか漫画とかで見かけるけど、よく分かんない。
そんなわけで選択肢が少なかった。
というわけでブラックジャック、行ってみよー。
◇
だめでした。
カードを追加で引くか勝負するかは、他の客の動作を見て分かったけど、残念ながらカード運が無かった。
前半は割といい感じだったと思うんだけど後半で負けまくって結局プラスマイナスで言えば少しマイナス。
ひょっとして、やられた?
なんかこういうところのディーラーはカードを自由自在に操れるって話を聞くし。
でも国営だしなぁ……流石にそれは無いと思いたい。
そんなこんなで時間は過ぎ、みんなと合流する時間となった。
最後の締めにガチャ。
前にここに来た時もそうだった気がする。
あの時は半分の人が居なかったけど。
「ガチャね〜あんまりいい思い出ないんだけど。」
「奇遇だな。俺もだ。」
蒼井も何かソシャゲをやっていたようで、いい思い出がないそうだ。
俺もない。
悪い思い出ならあるけど。
「そういえばリナさんはあんまり遊んでませんでしたね。どうしてです?」
「あー、いやー、その、あんまりお金が無くてですね、それでカジノに使うのはどうかと思いまして〜。」
そういえばリナさんはただのヒラの受付嬢でしたね。
専属ありでアデラードさんといつも一緒にいるからつい忘れてたけど、なんの役職もないヒラでしたね。
ただの受付嬢じゃそんなに給料貰えなくてもしょうがないか。
「じゃあ、はいこれ。最後になっちゃったけど、最後くらいはこれで楽しんでよ。」
「いいんですか!?」
「もちろん。」
渡したチップは10連1回分。
それほど高いわけではないが、嬉しかったようで、リナさんはウキウキとしながら装飾品の列に並んだ。
さて、俺はどうしようかな。
ってまあ、もう決まってるんだけどね。
前回は魔剣欲しさに武器の列に並んだけど、今はもう魔剣持ちだからわざわざ魔剣欲しさに並ぶ必要はない。
そして装飾品なら自分で作ればいい。
つまり、俺が並ぶのは魔道具の列だ。
暫く待ち、ようやく俺の番となった。
今回はリナさんにチップを渡したから10連1回のみだ。
さーて、何が出るかな?
まあ、特にこれが欲しいっていうのは無いし気楽にいこうかね。
ーーガラガラ
適当に10回回してみたところ、白ばっかりだが、最後に1つ色が付いた玉が転がり落ちてきた。
玉の色は赤。
「おめでとうございまーす! 見事三等大当たりです!」
「え、当たり?」
「はい。三等はこちらの魔道コンロになっております。」
「ありがとうございます。」
物欲センサーってすげーな。
欲しい物がある時はなかなか当たらないくせに、特に何も考えていない時は結構いいのが当たる。
この運があの時にあれば……。
「お兄さん、おめでとうございます!」
「ありがとう。はいこれ。」
「え?」
「前に欲しがってたよね?」
「覚えていたんですか?」
「覚えていたというか、思い出した、かな。魔道コンロって聞いた時にふとね。」
「ありがとうございます! これでもっと色々な料理が作れるようになります。」
「そうなんだ。」
「はい! 今までは焚き火でやってて火加減の調節が大変でしたけど、これがあればじっくり火を通したり、煮込んだりと色々と出来るんです。それにこれ、グリルまで付いてるんですよ! 本当にもう、楽しみです!」
「そんなに喜んでくれるならよかったよ。」
本当に良かった。
また明日から移動だし、これでより美味い料理が食べられるわけだしね。
……それはそれとして、あっちとの落差が酷いな。
目当ての物が当たらなかったようで、あそこだけお通夜みたいな雰囲気だよ。
やっぱ、ガチャって怖いな……。
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