第932話 ちゃんと朝に起きれるといいな。的なお話

夕食の準備が出来たが未だアデルは離れず……。


「あの、そろそろ離れてくれません? これじゃお互い食べづらいだろうしさ。」

「……分かった。」


不承不承ながら了承しましょうといった感じで、離れるアデル。

なんでそんなに嫌そうにしてるんですかねー?

そんなにしがみつきたいお年頃なの?

人間400歳超えると人にしがみつきたくなるものなの?

って、そんなわけあるかい!


「なんだってずっとしがみついてたんですか? 正直疲れません?」

「いやだって……ああしてるとレントの事近くに感じれるんだもん。」


そりゃ感じれるだろうさ。

だってしがみついてるもの。

あれ以上近くに感じれる方法なんてそうそうないよ。


「後レントの香りに包まれてるような気がして、ちょっと興奮した。」


どうしよう……アデルが少し壊れてる。


「それ分かります! 私もお兄さんの服とか洗濯する際の匂いとか凄く好きでつい嗅いでしまったりするんです。」


ルリエも壊れてた?

そういえば、ルリエは匂いフェチな所あったね。

同類を見つけて嬉しそうにしてるや。

いや、セフィア達もそんな気あったな……何故か俺の周りには匂いフェチが多いみたいです。


アデルが匂いフェチに目覚めてきてる事を知った後、席について夕食を食べる。

夕食中にアデルとリナさんはこっちの事を知りたいようで、色々と聞いてくる。

なのでそれに答えていく。

アイリスさんにとっては2度目となってしまうが、まあ仕方ない。


そうして美味しい夕食が終わり、次は風呂かなと思って居たんだけど……。


「あの、風呂にもついてくるつもりですか?」

「もちろん!」


アデルは一月会わなかった所為か本当にべったりで、風呂に向かう俺の腕を取り一緒に風呂に入ると言っている。

こうなってくると、僕も私もと言ってくる子達が出てくるわけで、そこそこ大人数で風呂に入る事に。

まあ、流石にお風呂でそういう事はしないよね?

他の人もまだ後から入るだろうし。


「ふあぁ〜。癒される〜。」

「レントって本当に気持ちよさそうにお風呂に入るよね。」

「ああ、日本人だからなぁ〜。」

「日本人だと何かあるの?」

「何かっていうか、日本は世界でも有数の温泉地帯なんだよ。だからかお風呂文化が根付いていて、普段は面倒って言ってても温泉とか銭湯とか行くとテンション上がってしまうもんなんだよ。まあ、そういうお国柄って感じかな。」

「レントも面倒くさがってた人?」

「いや、俺は毎日お風呂に入ってた。夏場はぬるめのお湯だったけどな。」

「そうなんだ。」


お風呂にのんびり浸かっている俺の隣にはセフィアとアデルが。

その隣にリリンとルリエがいる。

そして正面にはアイリスさんとリナさん。

すっごいハーレム状態で酒池肉林ってこういう感じなのかな。

まあ、お風呂で何かするつもりはないけど。


「じゃあ、その頭に乗せた手拭いも日本独自の文化なの?」

「これは文化っていうか、マナーかな。湯船にタオルや手拭いは浸けちゃいけないから出してないといけない。でも手にずっと持ってるのも面倒だから自然とこういう感じになったんだと思う。昔から手拭いはこういうものってイメージがあるから実際がどうあれ、俺はこうしてる。」

「なんで手拭い持ってくるの? 無くても良くない?」

「まあ、流石に恥ずかしいから、隠す為に……かな。」

「なるほど……隠す為に。」


アデルは共感出来るものがあるようで、周りを見てる。

言い方は悪いけど、1番貧相だからなぁ……。

セフィアの素晴らしいプロポーションに大きなお胸のリナさん、最初に会った時はまだ幼さがあったけど、もう2年半以上経っていて大人っぽくなって来たルリエ、そして何故か最近成長著しいリリン。

このメンツ……いや、他の人も含めた中で1番小さいからね。

色々と。

後リナさん、恥ずかしいなら無理して一緒に入らなくてもいいと思うんだけど……。

さっきからずっと手で身体を隠してるし。


お風呂を出て部屋に入るが後ろからぞろぞろと付いて来てる。

うん。

知ってた。

お風呂一緒に入ってた時点で知ってたよ。

明日はちゃんと朝に起きれるといいな。

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