第875話 次こそは私も頑張ってみせましょう。的なお話
〜ラン視点〜
リリンが転移魔法……なんでもありかよ!?
強くて速くてなんでも出来てその上転移魔法まで使えるとかどんだけなのさ!?
というか、転移魔法ってめっちゃレアで習得方法もろくに分かっていない奴だよね!?
なんでそんなのまで使えるのさ!?
はぁ、はぁ、はぁ……ま、まあいい。
リリンが規格外だというのはこの探索の間に理解していたし、今更だ。
それに他のパーティだし手の内の詮索は暗黙の了解でしない事になっている。
今はそれよりもこれからの事を話しておこう。
「それで、これからどうするの? それと、ユウキについても。」
悲鳴を上げて倒れたユウキ。
なんでユウキも連れて行かなかったのか疑問なんだよね。
「その内起きると思うから。もし起きなくても、連れて行くよ。」
「いや、そうじゃなくて、なんでリリンと一緒に行かせなかったの?」
「ユウキちゃんは頼りになるから……それに連れて行ったら、不安で壊れちゃうかもしれないから。」
「そこまでなんて、前に何かあったの?」
「えっと……。」
「あ、言い辛いのなら無理しなくてもいいよ。」
「すみません。そういうわけなんで、ユウキちゃんも連れて行きます。それで、今後の事ですけどリリンが戻って来次第探索をしようと思います。それでいいですか?」
「ええ。ですが探索する場所はどこにする予定ですか? 何も手掛かりがありませんが。」
「下の階層に進むべきだと思います。多分、いえ、必ずアデラードさんも捜索をしてくれますから、上の階層はアデラードさんに任せます。」
「分かりました。では、そのように。それまでの間に休息を取っておきましょう。」
ルキノが纏め、リリンが戻って来るまでの間休息を取る。
リリンが戻って来たのは30分くらい経った頃。
リリンが戻って来る前にユウキは目が覚めて、レントがいない事に対して震えていた。
何があったのかは分からないけど、確かにあれだと心配になる。
しかしそれも少しの間だけだった。
何を話したかは聞かないようにしていたけど、セフィア達が話をしたおかげか持ち直したようで、リリンの帰還と共に捜索を開始するのだった。
◇
捜索は順調という言葉が安く聞こえるくらい順調に進んだ。
21階層からはこれまでとその様相を大きく変え、完全な森と草原のフィールドになる。
小部屋とか罠とか無く本当に森と草原だけになる。
どういう原理かは分からないけど天井には空があり、太陽があり、時間が経てば夜になるし雨が降ることもあって迷宮の中なのに外と変わらない場所。
そこをあっという間に捜索を進めて次の階層へと進んでいく。
リリンが『水狼咬牙』という魔法とセフィアが『タイガーバイト』という魔法を使い、それによって現れた狼と虎に乗せてもらって移動し、気配察知で探すという荒技でどんどん進んでいく。
そして魔物もユウキが魔法銃という非常に珍しい武器で、邪魔になるのだけ排除しているから凄くスムーズ。
いや、あの、この階層って結構広いしそれに背の高い草や森の影響で方角を見失って迷う事も多いんですけど……随分とあっさりと。
私達最初来た時、次の階層に行くのに2日掛かったんだけど……。
〜ナタリア視点〜
レントさんが倒れてから1時間。
ひ、非常に恥ずかしかったですが、なんとか無事にポーションを飲ませる事に成功した。
どの程度の損傷だったかは分かりませんが、寝顔が曇る事もないですから恐らくは命に別状はないでしょう。
後は起きてから容態を聞き、必要なら追加でポーションを飲んで体を休ませましょう。
ここがどのような場所かは未だ分からずじまい。
なので、無茶はせず万全な状態でいる事が重要。
幸い、追加で敵が現れるという事もありませんし。
あの後、敵が現れた方の出入り口が開き、そのまま閉じる事なくそこにあり続けている。
恐らくは進んで来いという事でしょう。
レントさんがこんなになるまで頑張ってくれたのですから、次は、次こそは私も頑張ってみせましょう。
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