第825話 早速お手並み拝見といきましょうか。的なお話

リリンの活躍やランさんの地団駄がありつつ順調に進み、3階層を過ぎ4階層へ。

途中で小休止を挟みつつお昼頃に5階層への階段前へとたどり着く。


「ここでお昼、しばらく休んでから5階層へって事でいいですかね?」

「そうですわね。」


という事でお昼の準備。

俺がいつものをしている近くでユーリ達はまたもやカチカチの黒パン、乾燥野菜のスープ、干し肉が薫製肉になっているが基本は一緒だ。

……ひょっとしてそれしか用意してないのだろうか?

いや、それが普通なのだろう。

異常なのは俺達の方か。

特殊上位互換で時間停止だからな。

ふむ……。

あまり食事を取れずに力が出ないというのも困るし、ここはこっちで用意した方がいいな。

量だけは有り余ってるし。


「ユーリ達。食事はこっちで用意するからそれは仕舞っていいぞ。」

「え?」

「セフィア、そういうわけなんで3人分追加で。」

「いいの?」

「ああ。食事量が少なくて力が出ないとか言われても困るからな。」

「分かったよ。」


追加分をセフィアに渡してしばらく待つといい香りが漂ってくる。

出どころは近くの天装さん達のところだ。

まあ、後から追加した関係で向こうが早くなっても仕方ないよね。


天装さん達から少しばかり遅れてこっちもいい匂いがして来る。

その匂いに期待を膨らませるかのようにユーリ達がずずいっと身を乗り出してフライパンを覗き込もうとする。

危険なのでセフィア達が制しているけど。


……そういえば、ユーリ達にとってはこれって大好きなアイドルの手料理を食べられるという事だよね?

もしかしてそれが理由で乗り出したのか?

でも、前にも食べたことあったはず。

そこまで乗り出す必要あるかな?


「出来たよー。」


今日のお昼のメニューはパスタのようだ。

いやまあ、乾麺を渡した時点で知ってはいたけどね。

そして種類はトマトソースでキノコがいっぱい入ってる。

それも知ってた。

トマトとキノコ、それに塊肉を渡したからね。

後は野菜のスープ……地球のもので言えばポトフに近いものだな。

ウインナーが入ってる。


「セフィアちゃんの手料理……この前は食べられなかったし、やっと食べられる……。」

「いや、前にも食べたことあるだろ。」

「もう大分前のことじゃない! それにレヴィ達はこの前食べたし!」

「それはしょうがないだろ、ランクに差があったんだから。」

「だとしても! 食べたかったものは食べたかったの!」


だとしても! 入りましたー。

ここ最近の好きなワードの1つ、だとしても! アニメの影響だけど、それをユーリに言われるのはモヤモヤする。

これがセフィア達の誰かならおお、あのセリフか! ってなるだろうに、ユーリだからね……。



セフィア達の美味しいお昼を食べ終え、お腹も膨れ気合十分。

というわけでサクサクと進みついにバーミ戦へ。


「本来はボス戦で連携の確認をと思っていたのですが、飛び入りの者もおり、その実力を確かめたいと思っておりますの。ですので、まずはユーリさん達3人だけで戦ってみていただけますか?」

「私達の実力も知らないと連携も取りづらいだろうし、別にいいわよ。ね、レヴィ、ユーリ。」

「そうだね。それにトライデントボア・バーミリオンならば前に潜った時にも倒したし。」

「レントさん、見ていてくださいね。」

「おう。頑張れよ。」

「はい!」


ナタリアさんの言うことは一理あるし、俺もイリスさんの実力はよく知らない。

ユーリとレヴィは前に一緒に戦ったこともあるが、結構前の事。

それなりに実力は上げて来てるだろうしここで確認をするのは必要な事。

というわけで、早速お手並み拝見といきましょうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る