第789話 やばい……完全に忘れてた。的なお話

3人は7位だったそうだけど、レヴィとイリスさんペアはどうだったのだろうか?

というわけで、3人と別れて張り紙の確認をする。

3人はこの後残念会するそうだし。


えーと、レヴィ、イリスは……お、あった。

9位か。

2人だけだし10位以内というのは十分すごいと思う。

まあ、それを言ったらシルヴィアは1人なんだけどな。

あいつ、大剣を軽々と振るし何者なんだろ?

少なくとも人間ではないはず。


ぼんやりと眺めていると5位に天装の姫の文字が。

天装のクランからもメンバーが参加していたのか。

名前は覚えがない……というか、全然人の名前を知らないけど。


「レントも来てたんだ。」

「あ、アデラードさん。まあ、何人か知り合いもいましたからね。」

「それもそうか。今日はこれから予定ある?」

「いえ、特には。」


アニメが見たいという話になるかもしれないけど、それは急ぎというわけではない。

いつでも見られるんだし、我慢してもらおう。

そして俺も我慢する。


「じゃあ、今夜はウチに泊まっていきなよ。」

「え、いいんですか? その、仕事とか。」

「ああ、それなら大丈夫だよ。昨日今日と忙しかったからね。だから今日はもう上がりにしてあるんだ。まだ素材の売却があるけど急務ってわけじゃないからね。だから今日は大丈夫。」

「それならいいんですけど。あ、でもみんなに聞かないと。」

「それもそうだね。でも最悪、レントだけでもいいよ? その、2人っきりで、さ。」


うわわ。

それって、つまりはそういう誘いだよね?

そんな事言われたら顔が紅潮してしまう……。


「特に予定もないし、アデラードさんがいいのなら是非。」

「そうですね。」

「ん。お邪魔する。」


リリンの言うお邪魔するが別の意味に聞こえてしまいそうだ。

いや、そんなつもりがないのはわかるけど、言葉数が少ないから……。

ちなみに、アデラードさんもそういう風に聞こえたようで、ちょっとだけムッとした顔してる。

その顔もかわいいね。


「レントと2人っきりだと、身が保たないよ?」

「え? そ、そんなに?」

「うん。3人でもやばかったから……。」

「そ、そうなんだ……でも、ちょっと味わってみたいかも。」


そこ、聞こえてますよ〜。

アデラードさんが言っていた2人っきりに対してセフィアがアデラードさんとこっそり話してるけど、聞こえてるから。

そうなったらちゃんと加減するつもりだから。

……止まれるか分からないけど。


他のみんなもアデラードさん家に泊まる事には反対しないようだ。

まあ、今更だしね。

なんだかんだでよくお世話になってるもの。


というわけでアデラードさん家にお世話になるわけだが、すぐに向かうということではない。

どうせならとアデラードさんがリナさんとアイリスさんも誘おうと言い出したから。

除け者にはしたくないそうだ。

3人の仲が良好で何よりです。


「え、お泊まりですか? 私も行きます。レントさんも来るんですよね? 当然行きます。」


リナさんは二つ返事でオーケーを出し、続けてアイリスさんも誘うこっちもオーケーと。


「明日からまた忙しくなりそうっすから……。英気を養っときたいっす。」

「そういえば……お疲れ様です。」


前もあったね。

狩猟大会に参加した人達が懐があったまったからとかで武器防具がバカ売れするのが。

もうあれだね。

開発特需ならぬ狩猟大会特需。

経済が回るのはいい事だけど、アイリスさんに負担がかかるのはなぁ……。

Cランクにもなれば、頼むならこの店っていう贔屓のところがあるだろうけど、Dランクだとどうなんだろう?

懐があったまったから気になってたあの店に……なんてことあったりするのかねぇ。

シルバーのなんとかというパーティが利用してる店だし、この機会に俺も……みたいなさ。


「そういえばリナは今日も混ざらないつもり?」

「な、なんですか急に!? 自分は先に行ってるからって自慢ですか!?」

「そんなんじゃないけど、そろそろどうかなって?」

「まだいいですよ! 別に、興味がないとかじゃないですけど、その、そういうことはもっとこう……順序があって、何回目かのデートで初めてのキスをして、そこからまたデートを重ねて、両親に報告とか、挨拶とかして、結婚して、それから……みたいな。」

「それだといつになるのさ。」


リナさんは随分と夢見ているようだ。

でもそれが普通だよね。

ちょっと古風な考えだけど、そこがいい。

そう思ってうんうんと頷いているとアデラードさんが振り返る。

ん?

何?


「ところでレント。ユキノは?」

「あ。」


やばい……完全に忘れてた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る