第727話 どんな本を買ってきたのやら。的なお話

お昼を食べた後に行くのは食材系。

お肉は魔物を倒せば手に入れられるが、血抜きなんかもしないといけないから事前に買うのも悪くはないだろう。

野菜も必要。

ビタミンやなんやといったものは野菜類の方が取りやすいからな。

そういえば、お魚を全然頼みに行ってなかったな。

思い立ったが吉日。

丁度いいからお願いしておこう。


ウェイリーノーラにてお小言を貰った。

まだ良好な関係を築くのには至っていないが、無事お魚を注文し、その後に買うのは調味料。

味噌、醤油、砂糖に塩。

ハーブにスパイス。

この辺は高いといえば高いが、手が出ないというほどでもないお値段。

その辺の異世界モノとは違ういい点だな。


「後は武器のメンテかな。」

「あ、そうだね。やっておいた方がいいかも。お願いできる?」

「もちろん。そのつもりだよ。」

「悪いわね。」

「気にしないで。」


セフィアとリリンの双剣と短刀、そしてシアとルナの近接用武器を預かり4人と別れてグラハム武具店へ。

4人はこの後ルナのローブやシアの矢を見に行くと。

ルナのローブや帽子を選べないのは残念だ。


「こんにちはー。」

「おう。今日は遅いがどうした?」

「依頼とか、魔道具とか見てまして。それで、魔物討伐に行くからメンテをしようと思いまして。」

「そうか。いつもの所は空けてるから自由に使ってくれ。」


本当に、俺専用の場所が用意されてたりしないよね?

いつも空いててびっくりなんだけど。


武器のメンテといっても、アリシアさんが作った剣は本当に丈夫で刃毀れとか全くないし、シア達も普段あまり使っていないということもあって、それほど手間がかかることなくメンテを終えることができた。

というわけで、まだ時間があるわけだが……何をしようか?


みんなと合流するのもありだとは思うが、そもそもどこにいるかも分からないしなぁ。

探すだけで時間が無くなるかもしれないし……。

うーむ。

……そうだ。

鏃を作ろう。

ハードジャイアントはかなり防御力が高いから、普通の矢だと刺さらなそうだし、何か別のアプローチで攻撃できる矢とか作れないかやってみよう。

ダメで元々、便利なものができたら儲け程度でやってみるか。



そうして鏃をいくつか作ってみたが……ちゃんと飛ぶのだろうか?

ちょっと不安になってきた。

まあ、上手くいったらいいなレベルだからあんまり気にしても仕方ないんだけどね。

とりあえず後は矢として完成させるだけだけど、矢羽根が無いな。

そもそも素材自体分からないや。

後はシアに聞いてみればいいか。


宿に帰ったが、まだみんなは帰ってきていなかった。

女の子だしねー。

買い物に時間がかかるのは世の常。

気長に待つか。

と、そういえば本の新作が出てたんだった。

気長に待とうと思っていたけど、まだみんないないわけだし、買いに行くくらい別にいいよね?


本屋に行ってみたら、何故かセフィア達がそこにはいた。

いや、何故かも何も普通に本を買いに来たんだろうけどさ。

だから声をかけようと思った時にちょうど話し声が聞こえて来た。


「これ、どう思う?」

「どうって、本当に男の人はこんな事されて喜ぶの?」

「でもこの本にはそう書いてあるし……。」

「前やった。」

「「やったの!?」」

「喜んでた。」

「そ、そうなんだ……へー。」

「やっぱり、私も、やった方が、いいのかな?」

「そんな無理しなくても……、それに、1番の物持ってるし。」


一体、なんの話をしているんだろうか……。

気になるけど、なんだか聞いてはいけない気がするのは何故だろうか。

ま、まあいいや。

どうも熱中しているみたいだし、お目当ての本を買ってさっさと帰ろうかな。

えーと、ラジル・コープマス先生の作品はっと。


熱中する4人を置いて帰ってしばらくすると、ようやく4人が帰ってくる。

本を持っている様子はないけれど、リリンとシアにはアイテムバッグがあるからそこに入ってたら分からない。

でも、多分買ってあるんだろうなぁ。

だって、リリン以外の4人が挙動不審だもの。

どんな本を買ってきたのやら。

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