第712話 今夜には寝かせて欲しい。的なお話

「じゃあ、レントは今日はこれで終わりだね。明日は天気次第だけど、罠がある時の立ち回りの訓練ね。それと、夜にでもセフィア達に渡した資料に目を通しておいてね。」

「分かりました。」


さて、他のことで頑張ろうと決意をしたはいいが、罠解除の練習で結構な時間が経っていてすでに4時半。

うーむ。

この後どうしようか。

途中で休憩を挟みつつ練習をしていたとはいえ、かなり集中力が必要だったから精神的に疲れているんだよな。

正直なところ、今日はもう休みたい気分。

いや、休んじゃおうかな。

俺、朝から座学をやってその後も練習と頑張っていたし、休んじゃってもいいよな?

……………………いやいや!

まだリリン達が頑張っているわけだし、ここで俺が休んでたらダメだろ!


とは言っても、どうしたものか。

セフィア達に混ざるというのもありといえばありなんだろうけど、今更1から読ませてもらうというのもなぁ……。

みんなはかなり先に進んでいるだろうし、邪魔になるんじゃないかな。

何か新武器とか新技とか考えるか?

それとも、アクセサリーのデザインとか……つまようじは……流石にないか。

後は……うーん。

まあ、いつも通り魔法障壁の訓練でもしておくか。


漫画やアニメのキャラが手に炎とか雷とか纏って連打ってかっこいいよね?

でも普通にやったらまず手が死ぬ。

でも、障壁で保護してみたらどうだろうか。

手と魔法の間に障壁を挟むことで手が怪我をしなくて済むのでは……と思う。

まあ、そもそもそんな複数の事をできるほど器用じゃないんだけど。


とにかく鍛錬あるのみ。

何をするにもまずは魔力操作を鍛えなくてはな。



1人練習を1時間ほどやるとみんなの方も終わったようで呼びに来た。


「レント〜そろそろ帰ろう?」

「分かった。」


みんなと合流して、途中でリナさんとアイリスさんもやって来てそのまま宿へと帰る。

この大所帯にも慣れられ、レイちゃんにおかえりなさいって普通に出迎えられたよ。


そしてこれもいつも通りといった感じで、宿で夕食を食べているとアデラードさんが乱入してくる。

レイちゃんも手馴れたものでまずアデラードさんが最初に飲むお酒を持って来てくれる。


「いつもありがとねー。」

「いえいえ。では、ごゆっくり。」


本当に手馴れててもう完全に常連さんと化していた。

これでいいのだろうか。

今更だけど、エリュシオン邸ではミストレーニアさんを筆頭としたメイドさん達が食事を用意しているのではないか?

それを毎度こうして無駄にしているの申し訳ない気がする。


「あの、今更だけど、いつもここで食べてていいんですか? 家だと食事の準備とかされていると思うんだけど。」

「大丈夫大丈夫。共鳴の指輪の原理を応用した魔道具が置いてあるから、それでちゃんと連絡しているよ。」

「それならいいんですけど。」


どうやら大丈夫らしい。

食事が終わると部屋に戻って酒宴第二弾へ突入する。

いつもなら満遍なくみんなに飲ませるアデラードさんなんだけど、今日はどういうわけかリナさん、ユキノ、アオイの3人にやたらと飲ませる。

そのせいで早い段階でリナさんが酔いつぶれてしまった。

蒼井とユキノもその後も飲まされて早々にダウンしてしまう。


「あーあ、何やってるんですか。こんなに早く酔い潰すなんて。」

「これで邪魔者はいなくなったね。」

「邪魔者、ですか?」


なんとなく予想はついている。

その3人にはある共通点があるから。


「さて、それじゃ始めよっか。」


400年分の獣欲はこの前の一件で完全に目覚めてしまったみたい。

更にリリンを筆頭とした嫁〜ずもすでに臨戦態勢となり、俺にはなす術はなかった。


今夜には寝かせて欲しい。

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