第713話 練習しながら午前を過ごした。的なお話
「………うっ……ふぁ……もう朝か。」
眠い……。
獣欲に目覚めしアデラードさんを筆頭に、嫁〜ずにたっぷりと貪られた所為で疲れが取れた気がしない。
時間は……8時36分!?
朝食ギリギリだ!?
「みんな起きて! 朝ごはん食べれなくなるよ!」
「ふぁ……。」
「むにゃ……。」
みんなを起こしてなんとか朝食の時間に間に合うことができた。
しかし、リナさんとアデラードさんは完全に遅刻だなこりゃ。
その当人達は、リナさんは頭痛に悩み、アデラードさんは開き直ってのんびりと朝食を食べている。
「雨は止んでるけど、とりあえず今日は午前は身体強化と魔力障壁の訓練。午後は雨でぬかるんだ訓練場がどうなるか分からないからその経過を見て判断。乾いてくれれば罠がある場所での立ち回りの訓練。乾かなかったら……模擬戦かなぁ。」
「それはいいんですけど、仕事大丈夫なんですか?」
「大丈夫大丈夫。この前10日分の仕事をやっちゃったから。」
「そうなんですか?」
「うん。その時は浮かれてて、ついね。まあ、だから大丈夫だよ。」
大丈夫らしい。
大丈夫じゃないのは、リナさんの方。
酔い潰されるまで飲まされていたから現在は2日酔い中。
「リナさん、とりあえず薬飲みます?」
「い、頂きます……。」
今回は薬をもらうリナさん。
そんなリナさんも一緒にギルドに向かう。
アイリスさんはお店の方に向かい、俺達は9時からは少し遅れてギルドへ……。
「遅いですよ。一体何をしていたんですか?」
「エリーナ? どうしたの?」
「どうしたの? じゃありません。ギルドマスターともあろう者が遅刻して、あまつさえそのことを全く気にしてないとはどういう事ですか!」
「で、でもこの前仕事を10日分やったし……。」
「確かにこの前は10日分の仕事をしていました。普通ならばそれだけやれば仕事に余裕が出来るでしょう。ですが、それは真面目に仕事をしていた場合の話で普段から怠け気味のあなたには適用されません! ……実質3日分の余裕しかありませんよ。まだ狩猟大会の仕事も残っているんです。経費の承認に間引きを行う冒険者の手配、日時の確定、領軍や衛兵への協力要請、他にもあります。それなのに、そんな余裕な態度で入られても困ります!」
「うぅ……。」
「それとリナは……体調が悪そうですね。大方これに飲まされたのでしょう。それには同情しますが、もう仕事は始まっています。すぐに持ち場についてください。」
「わ、分かりました……。」
「じ、じゃあ、私も……。」
「まだ話は終わってませんよ。この際です。これまでの分も言わせてもらいますよ。」
「ひえーー! れ、レント達は先に訓練してて!」
「は、はぁ……。分かりました。」
朝食の時にアデラードさんは大丈夫と言っていたが、全然大丈夫じゃなかったな。
エリーナさんめっちゃ怒ってた。
しかし、言われてみれば良く稽古をつけてもらっていたわけだし、仕事も遅れるわな、そりゃ。
ちょっと申し訳なく思う。
だけど、俺にはどうしようも出来ないわけで、出来ることはアデラードさんに言われた通りに訓練をする以外にない。
そんなわけでひたすらに身体強化と魔力障壁を繰り返す。
こういったことは日々の反復練習がモノを言う。
俺はみんなよりも遅れているし、しっかりと、一回一回意識を集中して練習に励む。
レイダさんがやっていた透晶魔装というのもやってみたいし、昨日考えていた魔法を宿した拳もやりたいからな。
やりたい事があるなら、努力をするしかない。
まずは魔力障壁を1秒以内に展開できるようになる事。
そして、形状を変化させる事。
この2つを意識して練習だ。
そんな事を、アデラードさんのことは頭の片隅に追いやって考え、練習しながら午前を過ごした。
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