第631話 嫉妬の視線は気にしない。的なお話
目が覚めたら、10時だった。
あれ?
いつの間にこんな時間に?
誰か起こしてくれれば……って、みんな寝てるよ。
まあ、仕方ないか。
ダンジョンの中で安眠しすぎるわけにもいかないし、あまりにも怪しいだろうからベッドなんかは持って行ってない。
だからか、寝ていても疲れが取りきれないんだよね。
それからベッドに戻ったんだから寝すぎるのも仕方ない。
俺もそうだったし。
それはそれとして、朝食は出来合いのかー。
重いのはやめとくとして、何かあったかな?
お、サンドウィッチがあるな。
他は……ロールサンド、これもサンドウィッチだな。
まあ、作る側としては簡単だからな。
パンを切っておいて注文を聞いたら中身を挟んむだけで用意できるから。
とりあえず、この辺のを適当に出しておくか。
後は果実水を出して、と。
「セフィア、リリン、ルリエ。朝だよ。起きて。」
「んぅ……もう朝?」
「眠い…。」
「ふぁ……おふぁようごじゃいます。」
寝ぼけ眼な3人もかわいい。
「うん。おはよう。もう朝食の時間が過ぎてるから出来合いのだけど、準備しといたから。今からみんな呼んでくるから先に食べてて。」
「分かった。」
「ん。」
「ふぁい、分かりました。」
シア、ルナ、ユキノの部屋に行くと3人とも起きたばかりのようで寝間着のままだ。
それは俺もだけど。
3人には俺達の部屋に行ってもらい、俺はアカネ、レイダさん、蒼井の部屋に。
そこでもさっきと同じようにノックをしたのだが、出てこれたのはアカネとレイダさんの2人で、蒼井は未だ爆睡中だそうだ。
うん。
予想はしてた。
「起こすのも悪いし、アカネ達も面倒だろ? だから自然に起きるのを待てばいいだろ。それよりも、朝食だ。時間が時間なんで、食堂じゃなくて出来合いのだけどな。」
「んー、そうね。あれだけ気持ちよさそうに寝られると起こすのも悪いし、そうさせてもらうわ。」
というわけでアカネとレイダさんを連れて部屋に戻る。
みんな(1人を除く)でのんびりと遅い朝食を楽しみながら、今日の予定を話し合う。
「俺はこの後ギルドに帰還の報告と買取をしてもらいに行くけど、みんなはどうする? 何かやりたいこととかある?」
「僕はレントについて行くよ。」
「私も。」
「私は、レイちゃんとお喋りがしたいんですけど、いいですか?」
「もちろん。」
「私は弓の弦を張り替えるつもりだから宿にいるつもりよ。」
「わ、私は、絵の具の補充を、したいなって、思ってます。」
「そっか。レイダさん。悪いんだけどさ、ルナに付いてってくれないかな? 男性恐怖症の事もあるし、念の為にさ。」
「分かりました。」
「私も付いてくわ。もともと特に予定もなくて暇だったし。」
「アカネ、ありがとな。」
「別にいいわよ。それに、心配なのは私も一緒だし。」
「後は蒼井だが、ルリエ、もしもあいつが起きたら蒼井の分の朝食を渡しといてくれ。」
「分かりました。」
さて。
食休みもそこそこに、各自自分の部屋に戻って着替えをして再度集合。
そこからそれぞれの行き先へと向かうのだけど、ふと忘れていたことがあるのを思い出した。
ピロートークじゃないけど、夜に襲われる前にちょっとばかし、アイリスさんにお願いをしていた事を。
あれから2週間近く経ってるしそろそろ出来上がってても不思議じゃないよな。
帰還の報告もしないとだし、丁度いいので後で寄ろうっと。
ギルドにたどり着いたので早速リナさんの元へ…………と、思ったら受付の所にいない。
休みかな?
「リナさんいないね。休みなのかな?」
「そうかもな。仕方ないし、別の人の所に行くか。えーと……あそこが空いてるな。」
「本当だ。なんでだろう?」
「……男だからじゃないか?」
「単純。」
「あはは……そうだね。」
受付は基本的に美人な人なのだが、あそこは男の人だった。
気持ちは分からなくもないが、露骨過ぎるだろ。
「レントは他のところじゃなくていいの?」
「なんで?」
「なんでって、やっぱり女の人の方が良いのかなって。レントも男の子だし。」
「セフィア達のがかわいいからわざわざ並ぶ必要ないだろ。それに、空いてたりするならともかく、そうでないなら面倒なことする必要ないだろ。」
「ふふ、そっか!」
「ん。」
軽くイチャついてから受付へ。
嫉妬の視線は気にしない。
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