第597話 どう収拾つけたらいいんだ!? 的なお話
そんな感じで、朝起きて訓練に行って夜帰って夕飯食べて、嫁達に襲われるというサイクルが出来上がりつつある。
そして、当初の訓練予定だった1週間が過ぎた。
「うーん。もうちょっとなんだけどなぁ。」
「すみません…。」
「まあ、そう簡単に出来たら誰も苦労しないし、気にしなくていいよ。それに、まだまだ初期段階だし。」
そう。
未だ俺の魔力障壁は腕に纏わせる程度でしかない上に、密度も甘く頼りない感じ。
本来ならばもっと広く体全体を覆えるようなサイズで、そうじゃなければ障壁として機能しない。
現在のこれでは精々籠手の強化くらいにしかならない。
いや、それも十分役には立つんだけど、広範囲を攻撃する魔法なんかを撃ち込まれてしまえばこんなんじゃどうしようもない。
普通に死ぬ。
というか、腕で防げる範囲しか守れないし。
そして、他のみんなは……
「うーん、まだまだ実戦では使えないかな。全然遅いし。」
「ん。むずい。」
「私もまだまだですね。範囲狭いですし。」
セフィアは腕だけとはいえ、ちゃんと障壁を展開できるようになってきている。
セフィアが自分で言うように発動までに時間がかかり過ぎているので実戦では使えないだろう。
でも、俺よりも断然先をいっている。
リリンもセフィアとそこまで差はない。
けど、リリンの方がセフィアよりかは展開が速くはある。
ルリエは範囲は狭いし発動までにかかる時間も長いしたまに失敗しているが、それでも、俺よりも上だ。
なんか、こう、寂しさとか悲しさがこみ上げてくるなぁ。
3人以外も、程度に差はあれど俺の先をいっている。
………マンツーマン指導になるのもしょうがないよね。
◇
「空も紅くなってきたし、今日はこれくらいにしておこうか。」
「「「ありがとうございました!」」」
挨拶大事。
教わってるのだからちゃんと礼を言わないといけないよね。
「それで、1週間が経ったわけだけど、もう少し訓練した方がいいと思うからダンジョンはもう少しお預けだね。」
「それはまあ、仕方ないです……防御に不安があるのも事実ですし。」
ウチ、盾持ちの人って1人もいないからね。
みんな当たらないことを重要視してるから。
怪我したらそれだけで動きが鈍くなり、その鈍りが戦闘中では命取りになりかねないからな。
もちろん、盾なんかで防ぐのもありだろうが……。
って、そういえばさっき1週間って言ってたな?
なんか、引っかかるものがある……何だろう?
うーーーーーーーん…………あっ!
お魚!
1週間後って言ってたのにもう過ぎてる!
やっべ!
こりゃ、明日の昼に抜けないとダメだな。
はー、思い出せてよかった。
日本人なら海の魚は必須だし、またお寿司を食べたいからな。
忘れていたことを思い出せてスッキリした気分で宿に帰ると、そこには怒っているように見えるアイリスさんがいた。
そして、ここでようやく、本当は何を忘れていたのかを思い出した。
いや、お魚も忘れてはいたけど、そんなのよりもこっちの方がずっと大事な事だ。
「………私、待ってたんっすよ? お客様が商品を引き取りに来て、それでようやくレントさんと恋人になれると思ってたっすのに……レントさんは全然やって来なくて………色々とするんだろうと思って待ってたっすのに、全然来ないってどういう事っすかーー! こちとら勝負下着まで用意して待ってたんっすよ!? あれっすか!? 一度やったらポイっすか!? って、私はまだ何にもされてないっすよ!」
1人ボケツッコミ……。
というか、それ以前に何口走ってんすっかーーーー!?
「ちょっ、何言ってんの!? 公衆の面前で何言っちゃってんの!?」
アイリスさんが叫ぶもんだから、酒を飲みに来たおっちゃんや宿に泊まってる他の客達がこっちを見てくる。
これどう収拾つけたらいいんだ!?
……だ、ダレカタスケテー!
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